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概説カーマスートラ

たぶん1995年頃に、ちょっと書きかけて止めてしまった「概説カーマスートラ」なる文書。 それを、ハードディスクを整理してたら発掘しました。せっかくなので中身にはほとんど手をつけず、 タグなどをちょっと調整した程度で公開してみます。 (なので「準備中」となっていても、今後の作業再開は、たぶん ないです‥)

別途「カーマスートラ」というページもありますので、 もっと詳しく見てみたい‥という方はそちらをどうぞ。


[前] 1-3総説篇/性愛の学及びそれに関係せる学芸

3-1少女親近篇/少女の選択と親族の決定

[Table of Contents]

選択すべき相手の条件

まず相手としては同一の身分の、処女が望ましいと述べられている。ここで何 故処女が望ましいかについて、ヨーロッパのような所有の概念1 に基づいているというよりは、おそらくインドの厳しい身分制度と 深い関係があるのではないかと推測される。 処女ならば異なった身分の者との子供のできる可能性が皆無だから2。 しかし処女が貴ばれる理由はそれだけではなく、KS によると 「純真なる愛を 得る手段であるから」とも書いてある。

また他の条件としては「3歳ほど年下で、品性よく、健康で容姿端麗、貧乏は ダメ」みたいなことが書いてある。どの時代も人の考えることはたいして変わ らない。ただこれらの条件を述べた後に一言「かような少女を求める男子は自 身もまた同様の条件を具備せねばならぬ」とある。 身分をわきまえない高望みはやめろ、ということなのだろうか。ううむ。

  1. どうもヨーロッパというと、あの「貞操帯」のイメージが強すぎる。 あれは自分の所有物を侵害されたくないという意識の現れと考えるのが ごく自然の考えかたなのではないかと思う。
  2. つまり、わかりやすい例を出せば、相手が処女でなかった場合、 さらに身ごもっていた場合などは、かなりの問題になる、ということ ですかね。(秦の始皇帝のようなパターンは望ましくない、と)

    ちなみに他のインドの聖典の中に「婦女の堕落した家の者は皆、 身分制度をかきまわした罪悪により地獄に落ちる」という記述もある。 (BhG.,1-43,44.)

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相手が決まったら

さて相手が決まったら敵を落とすための作戦にはいる。 これには男の家族、親戚のみならず友人までも協力すべきとある。

まず友人たちが少女の両親の許に行き、その男の長所をアピールしてくる。ま たついでにライバルがいた場合はその者の悪口も言って敵の足を引っ張る。 そして友人の一人は占者のフリをし、男との結婚のメリットについていろいろ 話してくる。 もちろん占いについてはこのようなウソだけではダメで、 求婚の前に互いにきちんと運勢を確認しておく必要がある。

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貰うべきじゃない少女

ただし、このような少女はもらうべきじゃない、とここで作者は 悪い例を 列挙している。この記述がここにあるのは何だか収まりが 悪い気もするのだが、 あるのだから仕方がない。

 さて、まず求婚に訪れた時、相手が 眠っていたり、 とか、泣いていたり、などというの は非常に縁起が悪いので、縁談はとりやめろ、とある。 続いて「避けるべき」少女の特徴について書いてある。 「名前が不吉なもの」「出戻りのもの」「容姿の非常に醜いもの」 「姦淫のために種族を乱したもの」などがそれに当たるそうだ。 また「木にちなんで命名したもの」や「名前がラ音で終るもの」もやめろ、 と書いてある。 これによると「さくら」という名前は最悪の名前になってしまう。まあ、 これは日本人の名前だからいいとして、するとあのインド文学の華といわれ る「おもいでのシャクンタラー」 の主人公シャクンタラーはどうなるのか? 名前がラ音で終っているし1。 最後に王様と晴れて夫婦になれた、あのラストシーンは何だったのか??

  1. でも、この KS で説く「ラ音」ははたして r なのか l なのか はっきりしない。原典のコピーを仙台に置いてきてしまったので、 確かめようがない !! ちなみにシャクンタラーは l で終っているが..
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年頃の少女を持つ家族のすること

それから少女の家族が少女におこなわせるべきことについて書かれている。 「少女は商品だから」、年頃の娘は、友達といっしょに派手に着飾らせて人の 集まる場所に行かせるべきと書かれている。 そして立派そうな男が結婚申し込みに来たら、決まった手順をきちんと踏ん で、結婚させる。

ここまでが「少女と結婚するまで」の話。 以下、結婚してからのことに話題が移る。

[次] 3-2少女親近篇/少女の信頼を得ること