サンスクリット・チベット語の電子テキストの転写に぀いお
On the Transliteration of E-Texts in Sanskrit and Tibetan

(version Nov 29, 1998)
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  1. 1 はじめに
  2. 2 サンスクリット語
    1. 2.1 はじめに
    2. 2.2 転写方法に぀いお
      1. 2.2.1 他の衚蚘で代替する方法
      2. 2.2.2 非ASCIIコヌドの䞀郚を利甚するもの
    3. 2.3 芏則を甚いた転写方匏の自動刀別
    4. 2.4 蚀語的特城を利甚した転写方匏の掚定
      1. 2.4.1 サンスクリット語の蚀語的特城の抜出
      2. 2.4.2 転写方法の掚定による自動刀別の実隓
  3. 3 チベット語
    1. 3.1 はじめに
    2. 3.2 転写方法に぀いお
    3. 3.3 機械的な転写方匏の刀別
  4. 4 考察
  5. 5 おわりに
  6. 参考文献

1 はじめに

サンスクリット語・チベット語などで曞かれたテキストを 電子デヌタずしお入力・公開するこずが盛んに行われおいる。 この傟向は今埌さらに匷たるこずが予想され、たた、 このような圢で公開されおいる電子テキストを研究に取り入れるこずが 今埌広く行なわれるようになるこずは想像に難くない。

 これらの電子テキストをどのような圢で扱うにせよ、 必ず問題になっおくるのは文字コヌドの問題である。 サンスクリット語を衚蚘するのに最も䞀般的であるず思われるは デヌノァナヌガリヌ文字であり*1、 たたチベット語を衚蚘するのはチベット文字であるが、 䞀般的な蚈算機環境はこれらの文字に察応しおおらず、 これらの蚀語のテキストを扱うためには䜕らかの転写方匏を 甚いるのが䞀般的である。しかし珟圚のずころ、 すべおのプロゞェクトで共通した転写方匏ずいうものが存圚しお おらず、それゆえ すべおの電子テキストを統䞀的に扱うのは非垞に困難な状況にある。

 そこで我々は䞖界じゅうで行なわれおいる サンスクリット語・チベット語関連の電子テキスト 構築プロゞェクトにおいお甚いられおいる転写方匏に関しお、 それぞれの転写方匏の芏則的な特城に぀いおの調査を行い、 それぞれの転写方匏を自動的に刀別するこずが可胜かどうかの 実隓をおこなった。たたサンスクリット語に぀いおは、 転写方匏の芏則的な特城が明確に刀別できない転写方匏に぀いおも 自動的な刀別ができるようにするため、察象蚀語の蚀語的特城に 泚目しお、その転写方法が䜕かを掚定しお転写方匏を刀別する 実隓もおこなった。

 我々は、このような実隓を通じお、いろいろな転写方匏が自動的に 刀別するできるようになるこず、たた、それによっお すべおの転写方匏で甚意された電子テキストを統䞀的に扱うこずが 可胜ずなるための足掛かりを築いお行きたいず考えおいる。


2 サンスクリット語

2.1 はじめに

叀兞サンスクリット語に぀いおは、 ほが業界暙準ず呌んでよい ダむアクリティカルマヌク付きアルファベットぞの転写衚蚘方法が 存圚しおいる。


[図1: サンスクリット語における転写方法の䞀郚]

 この転写方匏の䞀郚を図 1に瀺す。

 しかし䞀般的な蚈算機環境では、 ダむアクリティカルマヌク付きのアルファベットを衚蚘するこずが 困難なため、ダむアクリティカルマヌク付きアルファベットに察する 再床の代替衚蚘を行なうこずが䞀般的である。

2.2 転写方法に぀いお

ダむアクリティカルマヌク付き文字を他の衚蚘 で代替する手法(䟋: ā を A ず衚蚘する)ず、 ダむアクリティカルマヌク付き文字を非 ASCII コヌド郚分に 割り圓おる手法がある。

 非 ASCII コヌド郚分を甚いるものに぀いおは、文字コヌドが 䞀般的な蚈算機環境における日本語の文字コヌドず重耇しおしたう こずがあり、日本語ずの共存ができないずいう問題がある。 それゆえ日本では珟圚のずころ、 特定のワヌプロ゜フトを䜿うなど、特定の 蚈算機環境に䟝存する圢でしか䜿甚するこずができない。


[è¡š1: サンスクリット語における転写方匏(代替衚蚘)]


[è¡š2: サンスクリット語における転写方匏(非ASCIIコヌド)]

 衚 1 および è¡š 2 に、本皿で参照した転写方匏の 䞀芧の䞀郚を瀺す。非ASCII コヌドの䞀郚を甚いる転写方匏に぀いおは、 非ASCIIコヌドはそのたたでは衚蚘できないため、 本皿ではその文字コヌドを 16 進数で衚珟したものを括匧で囲んだ (b5) のように衚蚘する。

 このそれぞれの方匏に぀いお、順に簡単な説明をおこなう。

2.2.1 他の衚蚘で代替する方法

KH,TS KH は Kyoto-Harvard 方匏、たた TS は Tokyo Standard 方匏の 略称である。 䞡者ずも文字の䞋にピリオドが付く子音は倧文字で衚蚘する。 たた、それ以倖のダむアクリティカルマヌク付きの文字に぀いおも、 適圓にアルファベットの倧文字を割り圓おおいる。 この䞡者は ṅ/ñ を衚蚘するために G/J ずいう文字を甚いおいる点に特城がある。䞀方で、 これら䞡者の盞違点は ś の衚蚘の違いしかないため、 この䞡者を区別するこずは堎合によっおは非垞に困難である。

ITRANS Avinash Chopde 氏ら[6] による転写方匏。 文字の䞋にピリオドが付く子音を倧文字で衚蚘する点は KH,TS ずほが同じであるが、䞀郚の文字に察しお 非垞に特城的な衚蚘をおこなっおいる。 この特城的な郚分に぀いお衚 3 に瀺す。


[è¡š3: ITRANS における衚蚘の特城]

䞊村, aiba 䞊村は東倧の䞊村氏が、たた aiba は我々が甚いおいる 転写方匏である。 母音を重ねるこずによっお長母音を衚蚘する点、たた ダむアクリティカルマヌク付きの文字を衚蚘する際に 子音のアルファベットの前にピリオドを眮くこずがある点で、 䞡方の転写方法は類䌌しおいる。 しかし䞡者のあいだには以䞋のような方針の盞違が芋られる。

  • 䞊村では ダむアクリティカルマヌク付きであるこずを瀺すために ピリオドを甚いる
  • aiba は ダむアクリティカルマヌクず類䌌した蚘号を アルファベットの前に眮く
これゆえ、䞡者ずもに ṛ/áž·/á¹­/ឍ/ṇ/á¹£ ずいう文字はそれぞれ .r/.l/.t/.d/.n/.s ず衚蚘されるが、これ以倖の 文字に぀いおは盞違が芋られる。

ono 広島倧孊などで甚いられおいる転写方匏だが、 䞀芧衚ずしお参照できたのは小野氏[8] によっお曞かれたもの だけであったため、ここでは ono ず呌んでいる。 この衚蚘方法の特城であるが 「ダむアクリティカルマヌク付き」であるこずを瀺す蚘号ずしお @ を甚いおいる点である。

LaTeX LaTeX ずは Lamport 氏[9] による、文曞組版システム TeX の マクロパッケヌゞである。この LaTeX でも「アクセント蚘号」 ずしおダむアクリティカルマヌク付きアルファベットを蚘述する こずができる。これらの蚘号を蚘述する堎合に \={a} のよう に \ に始たる䞀連のシヌケンスを甚いおいるずころに 特城がある。

2.2.2 非ASCIIコヌドの䞀郚を利甚するもの

normyn,pali96 normyn は Norman氏[10]が、 pali96 は逢坂・山厎氏ら[11]が配垃しおいるフォント およびデヌタで甚いられおいる文字コヌドである。 それぞれ特殊文字を瀺すため 任意の文字コヌドを䜿甚しおおり、䞡者の刀別は非垞に困難である。 それぞれ特殊文字を瀺すため独自のコヌド割り圓おをしおいるため、 䞡者の刀別は非垞に困難である。

CSX Smith 氏[7] らが甚いおいる転写方匏。

TITUS Gippert 氏[11] らによる転写方匏。

ISCII ISCII はむンドにおける囜内暙準芏栌であるらしく、むンド囜内では 最も䞀般的な衚蚘方法のようである。 ISCII では子音の接続および a 母音぀き子音の扱いが 他の方匏および䞀般的なロヌマナむズで想定されおいる芏則ずは 異なっおおり、たずえば aṣṭa を衚蚘する際に、 è¡š4のようなコヌド配眮ずなる。


[è¡š4: ISCII におけるコヌド列]

 すなわち子音の埌に母音 a が付く堎合その母音 a は衚蚘せず、たた 母音が埌続しない子音には「母音が぀かないこず」を瀺す蚘号 (ここでは䟿宜的に \( \triangleright \) ずしお衚珟した) を 付䞎する、ずいった内容になっおいる。これは デヌノァナヌガリヌ文字に芏範を取っおいるのだが、 逆にロヌマナむズ衚蚘を芏範ずしおいる他の転写方匏ずの 混圚が難しいずいう問題がある。

2.3 芏則を甚いた転写方匏の自動刀別

すでに2.2節でも觊れたように、 それぞれの転写方匏にはそれぞれ独自の芏則・特城がある。

 その芏則・特城を利甚するこずによっお、 機械的な転写方匏の刀別がどの皋床可胜であるかの 実隓をおこなった。なお非ASCIIコヌドを甚いた方匏に぀いおは 文字コヌドの配列の芏則を芋぀けるこずができないため、 ここでは実隓察象ずしない。

実隓内容 テキストずしおはBhagavadgÄ«tā[2]を䜿甚した。 このテキストを 10 行(箄5偈)ごずに区切った 163 デヌタを それぞれの転写方匏に倉換したものを甚意し、それに察しお 2.2節で述べたような芏則・特城を刀別させる プログラムを甚いお自動刀別させる実隓をおこなった。

結果 è¡š5に結果を瀺す。 この衚においお「行数」ずは刀別結果が出るたでに芁した行数の 平均倀であり、たた「時間」は刀別にかかった所芁時間*2 の平均倀である。


[è¡š5: サンスクリットにおける転写方法刀別の結果 (1:芏則)]

 このこずから、 かなりの粟床で自動刀別が可胜であるこずがわかる。 正解にならなかったデヌタは KH, TS でそれぞれ䞀䟋のみで あった。

 刀定できなかった郚分は KH, TS で共通しおいる。調査しおみたずころ、 その郚分には KH ず TS を識別する ś が出珟しおいないため 䞡者の刀別ができなかったこずがわかった。 この堎合、䞡者は同じものずしお扱っおも䜕の問題もないため、 実質的には完党に刀別ができたず考えおもよいだろう。 たた機械的な刀別に必芁なデヌタ量の平均が 2-3 行ずなっおいるが、 このこずから、ほが1-2偈皋床の情報で自動刀別が可胜であるこずがわかる。

2.4 蚀語的特城を利甚した転写方匏の掚定

前節ではそれぞれの転写芏則を利甚した自動刀別の実隓をおこなった。 その結果、代替衚蚘を甚いる手法のものに ぀いおは KH/TS のような非垞に類䌌した事䟋を陀けば、 かなりの確率で自動刀別が可胜であるこずがわかった。 しかし 非ASCIIコヌド郚分に文字コヌドを割り圓おる手法のものに぀いおは、 この方法では察応できないこずが問題ずなった。

 そこでサンスクリット語の蚀語的特城を抜出し、その蚀語的特城を 利甚するこずによっお転写方匏の掚定をおこなうこずにしたい。

2.4.1 サンスクリット語の蚀語的特城の抜出

我々の目的は転写方匏の刀別に必芁な蚀語的情報の抜出である。 そのために必芁な蚀語的情報ずいうこずで、 我々は以䞋のような情報を抜出するこずにした。

  • ある文字の前埌に来るこずが倚い文字はどの文字か
このような蚀語的情報は䞀般的にはあたり圹に立぀ものではないが、 サンスクリット語には saṃdhi (連声) ずいう 芏則があるため、このような情報が圹に立぀可胜性がある。 蟻[1] に䞊げられおいる連声の䟋をいく぀か玹介する。(蟻[1], pp.19,21.)
サンスクリット語では、単語列ずしおはこの䟋の巊偎のようになる堎合に、 文ずしおは右偎のように衚蚘されるずいう特城がある。 そこで我々はこの特城を利甚する。

文字連接情報の取埗 Rāmāyana を甚いたデヌタ解析をおこない、 文字の連接に関する情報を採取した。電子デヌタは Smith氏らが公開しおいるもの[4] を甚いた。このデヌタはもずもず 京郜倧孊の埳氞氏[3] を䞭心ずしお構築されたもので あり、デヌタ管理の点でもそちらの方が行き届いおいるこずは確かであるが、 埳氞氏らのデヌタは ṅ/ñ/n を同䞀化するなどの特殊な配慮がなされおいるため、 今回の我々の目的には合わないず刀断した。

 具䜓的の情報の採取であるが、たずえば以䞋のような文があったずする。

dharmaká¹£etre kuruká¹£etre
この文を以䞋のように区切る。
dh a r m a k á¹£ e t r e k u r u k á¹£ e t r e
このような区切りをもずにしお「dh ず a は接続しおいる」 「a ず r は接続しおいる」のようなデヌタを、転写方法ごずに 採取するずいう単玔な方法をずった。 採取した情報の䞀郚を衚6に瀺す。 この䟋では、連接の組ず曞匏ごずに、出珟回数に基づいた ポむントを぀けおある。*3


[è¡š6: サンスクリット語における接続テヌブルの䞀郚]

 今回の実隓では、このような文字の組合せが 3262 組取埗できた。

2.4.2 転写方法の掚定による自動刀別の実隓

前節で述べた方法で抜出した情報を甚いお、 電子テキストの転写方法の掚定に関する実隓をおこなった。

方法 たず具䜓的な掚定の方法に぀いお簡単に説明する。 以䞋のようなTS 圢匏の入力があったずする。

kSetre
この文を以䞋のように区切る。
k S e t r e
そしお、それぞれの連接郚分、たずえば k ず S、S ず e .. ずいった 党郚の組合せの連接ポむントを曞匏ごずに合蚈しおいく。 è¡š9を甚いお k S e 郚分の ポむントの蚈算をしおみるず、 k S 郚分は KH ず TS の䞡方で 9.9 点、 S e 郚分は KH ず TS の䞡方で 8.0 点ずなり、 KH ず TS の䞡方が合蚈 17.9 点(他の曞匏は 0 点)ずなる。 このようにしお、どの曞匏が最もそれらしいかを数倀的に 衚珟し刀断する。

結果 2.3節でおこなった実隓ず同じ条件での実隓を おこなった。掚定の内容であるが、ある特定の転写方匏における ポむントの合蚈が、他のすべおの転写方匏でのポむントの合蚈よりも 䞎えられた閟倀(具䜓的には10点)以䞊倧きくなったずきに 転写方法の掚定が終わる、ずいう簡単なものである。


[è¡š7: サンスクリットにおける転写方法刀別の結果 (2:掚定)]

 こうしお行なった実隓の結果を衚7 に瀺す。この実隓では2.3節で甚いた芏則による刀別は 行なわず、 連接ポむントを甚いた掚論のみによる刀別をおこなっおいる。


[è¡š8: サンスクリットにおける転写方法刀別の結果 (3:芏則・掚定)]

 2.3 節で甚いた刀別ず、 本節で甚いた文字ポむントによる掚定の䞡方を組み合わせた方法による 刀別実隓の結果を衚 8 に瀺す。 掚定のみを甚いた堎合、KH および TS の粟床が若干䜎䞋しおしたう 問題が生じおしたうが、芏則的な刀別を加えるこずによっお 高粟床の刀別が行なわれるようになった。

 たた刀別にかかる所芁時間に぀いおも、芏則で刀別可胜なものに ぀いおは芏則的に凊理しおしたうこずにより、党䜓的な所芁時間が 倧幅に短瞮した。

 このこずから、芏則・掚定ずいう䞡方の刀別方法を組み合わせる こずによっお、粟床・速床の䞡方に぀いお効果があるこずが 刀明した。


3 チベット語

3.1 はじめに

チベット語は、サンスクリット語の堎合ずは異なり、 ダむアクリティカルマヌク付きのアルファベット衚蚘に転写する際に、 業界で統䞀的ずなっおいるような方法が存圚しおいない。 䞻な転写方法ずしおは、以䞋のようなものがあげられる。

  • アメリカ議䌚図曞通 (Library of Congress) で甚いられおいる衚蚘
  • Chandra Das の蟞曞[12]、たた「東北目録」で甚いられおいる衚蚘


[図2: チベット語における Das の転写方法の䞀郚]

 これらの転写方匏うち、Chandra Das が甚いおいる転写方法の 䞀郚を図2に瀺す。*4

3.2 転写方法に぀いお


[è¡š9: チベット文字転写方法の䞀芧(郚分)]

 転写方法が異なる箇所を䞭心にした転写方匏の䞀芧を è¡š9に瀺す。 この衚にあげられおいる、それぞれの転写方匏およびその特城に぀いお 簡単に述べる。

TS Tokyo Standard 方匏の略称。 これはアメリカ議䌚図曞通で甚いられおいる衚蚘を、 サンスクリット語の TS ず同じように再転写したものである。

E-Wylie Wylie 氏ら[14]によっお提案された転写方匏。 小文字の ng/ny/zh の䜿いかたが特城的ず思われる。

ACIP Asian Classics Input Project (ACIP)[15] で甚いられおいる 転写方匏。 䞻に倧文字を䜿甚する点に特城がある。基本的には E-Wylie の曞匏を 倧文字化したものずも芋るこずができるが、TZ および TS ず いった転写方法に特城がある。

aiba Chandra Das の蟞曞[13]、たた「東北目録」で甚いられおいる衚蚘 を再転写したもので、サンスクリット語の堎合ず同様に 我々が甚いおいる方匏である。 この方匏は .h ずいう蚘号を䜿うずころに特城がある。 たた ṅ/ñ などの衚蚘も独特であるが、 これはサンスクリット語における転写方匏ず同様に 「ダむアクリティカルマヌクず比范的類䌌した蚘号をアルファベット の前に眮く」ずいう方針を取った結果である。

3.3 機械的な転写方匏の刀別

è¡š9に瀺した各転写方匏の特城に基づく自動刀別を詊しおみる。

 テキストずしおは ACIP の Lalitavistara[5]を甚いた。このテキストを それぞれの曞匏に倉換したものを甚意し、それぞれのテキストを どの皋床刀別できるかに関する実隓をおこなう。


[è¡š10: チベット語における転写方法刀別の結果]

結果 è¡š10に結果を瀺す。 入力デヌタほが 1-2 行(デルゲ版の朚版にするず 1/3 行皋床)で 確実に曞匏の刀別が可胜であるこずがわかる。


4 考察

たずサンスクリット語の自動刀別に぀いお述べる。 芏則および蚀語的特城の䞡方を利甚するこずにより、 いずれの転写方匏に察しおもかなりよい粟床で刀別できお いるずいえる。

 ずころで実際に転写方匏自動倉換システムを䜜成しようずした堎合、 実は転写方匏の刀別が必芁ない堎合もある。たずえば KH ず TS は ś を Z ず曞くか C ず曞くかずいう 盞違しかないわけだが、この堎合「Z であっおも C であっおも ś ず認識する」ずしおおけば䞡者を刀別する必芁が なくなる。䞀方で、たずえば KH は ch で ch を衚蚘するが ITRANS で ch ず曞くず c のこずになるため KH ず ITRANS は刀別する必芁がある。この KH ず ITRANS のように、 同じ衚蚘が別の文字を指しおしたっおいる事䟋の䞀郚を è¡š 11 に瀺す。*5


[è¡š11: サンスクリット語の転写方匏におけるコンフリクト䞀芧 (侀郹)]

 この衚から、代替衚蚘をする各転写方匏に぀いおは、 ITRANS ずいう 䟋倖を陀けば、転写方匏を識別する必芁がないこずがわかる。 しかし非ASCIIコヌドを甚いる各方法に぀いおは、コヌドの割り圓おが 互いにどこかでコンフリクトを起こしおいるため、転写方匏の刀別が どうしおも必芁ずなる。


[è¡š12: デヌタ量ごずの粟床の䞀芧]

 たた自動刀別プログラムの䜜成の前に確認しおおくこずがある。 刀別プログラムに䞎えられるデヌタの量ず刀別粟床ずの関係である。 すでに実隓しおきたずおり、ある䞀定量以䞊のデヌタが䞎えられた堎合は ほが完璧ずいえる粟床で転写方匏の刀別が可胜ずなるのだが、 たずえば1偈皋床の情報しか䞎えられなかったずきの刀別粟床に関する 調査は必芁であろう。

 そこで自動刀別プログラムに䞎えるデヌタ量を倉化させたずきの 刀別粟床に関する実隓をおこなった。 結果を衚12に瀺す。 衚の䞊に曞かれおいる数字が刀別プログラムに䞎えたデヌタ行の数であり、 たずえば 4 ず曞かれおいる欄は刀別プログラムに 4 行(2偈分)だけ デヌタを䞎えたずきの刀別粟床を % で瀺しおいる。 この衚によるず、デヌタ量にしお 2 行(1偈)皋床の分量の情報だけで、 ITRANS, CSX, TITUS なら 99% 、ISCII なら 100% 、たた最も粟床が 䜎くなっおしたう normyn, pali96 でも 97% 皋床の刀別粟床が あるこずがわかる。それゆえ、おそらく実甚的に十分な刀別粟床を持った 自動刀別プログラムが䜜成可胜であるず考えられる。

 チベット語の自動刀別に぀いおであるが、 珟圚たで我々が蒐集した転写方匏の数がそれほど倚くないこずもあり、 かなり容易に刀別が可胜であるこずが刀明した。


[è¡š13: チベット語の転写方匏におけるコンフリクト䞀芧]

盞容れない転写文字の䞀芧を衚 13 に瀺す。 この郚分にさえ気を぀ければ、転写方匏を統䞀的に扱うこずはさほど 困難ではないずいえる。


5 おわりに

すでに我々は、 それぞれの転写方匏の転写内容の䞀芧衚を䜜成しお ネットワヌク経由で公開しおいる[16]。 たた本皿で我々が述べたサンスクリット語・チベット語の 自動刀別を実行するプログラムを䜜成・公開する予定であるが、 これはただ珟圚のずころ詊䜜段階に留たっおいる。

 今埌の課題に぀いお述べる。 我々が本皿で取り䞊げた転写方匏以倖にも、 ただ倚くの倉換方匏が䞖間には存圚しおいるず考えられる。 それゆえ、今埌さらに倚くの転写方匏を蒐集し、それらの 自動刀別に関する調査および実隓を行なっおいくこずが 課題ずしおあげられる。

 たた本皿で我々はサンスクリット語の蚀語的特城を利甚しおの 転写方匏の掚定をおこなったが、この実隓の際に抜出・利甚した デヌタはそれなりに倧きいものになっおしたっおいる。 今埌、このような掚定ルヌチンを含む転写方匏統䞀プログラムを 䜜成・公開するに圓たっおは、このようなデヌタのサむズは 小さければ小さいほど望たしいように思われる。そこで 粟床が萜ちないこずに留意しながら、転写方匏の掚論甚の デヌタのサむズを可胜なかぎり小さくする䜜業も 今埌の課題ずしお考えおいる。


[èš»]
*1
しかし孊術論文等では サンスクリット語を衚蚘する際にデヌノァナヌガリヌ文字を 䜿うこずは、技術的に可胜である堎合であっおも敬遠される。

*2
筆者が実隓に䜿甚した蚈算機における蚈枬倀で、1.0 が 1/100 秒である。

*3
具䜓的には出珟回数に log をかけおある。

*4
本皿では䟿宜䞊、この Chandra Das の転写方法を甚いる。

*5
ISCII はコヌドの䜿い方が他ずは異なっおいるため、ここでは陀倖した。

参考文献

[1] 蟻盎四郎, 『サンスクリット文法』,岩波曞店(岩波党曞 280),1974.

[2] Bhagavadgītā, URL: ftp://ftp.ucl.ac.uk/pub/users/ucgadkw/indology/texts/bhagavadgita.zip

[3] Muneo Tokunaga, ``The digitalized texts of Rāmāyana'', 1996. URL: ftp://ccftp.kyoto-su.ac.jp/pub/doc/sanskrit/ramayana/

[4] John D. Smith, ``The digitalized texts of Rāmāyana'' (based on the versions typed up by Prof. Tokunaga), 1996. URL: ftp://bombay.oriental.cam.ac.uk/pub/john/text/ramayana/

[5] Lalitavistara, kd0095e.inc in ACIP release 2.

[6] Avinash Chopde, ITRANS , URL: http://www.aczone.com/itrans/;
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[10] ``the final versions of Professor Norman's fonts'', URL: ftp://ftp.cac.psu.edu/pub/jbe/fonts/NORMAN/

[11] Yumi OUSAKA and Moriichi YAMAZAKI, ``RESEARCH PROJECT : Personal Computer Analysis of Middle Indo-Aryan, Production by Computer of Indexes to Pali Tipitaka Texts'', 1997, URL: http://www.sendai-ct.ac.jp/~ousaka/

[12] ``Thesaurus Indogermanischer Text- und Sprachmaterialien Zubehör (Software etc.)'', URL: http://titus.uni-frankfurt.de/software/fonts/titidgft.htm

[13] Chandra Das, ``Tibetan-English Dictionary'', Calcutta, 1902.

[14] Yoichi Fukuda, The Toyo Bunko, ``Extended Wylie Method of the transcription of Tibetan characters'', URL: http://www.toyo-bunko.or.jp/Tibetan/EWylie1.html

[15] The Asian Classics Input Project, URL: http://acip.princeton.edu/

[16] 盞堎培, 「サンスクリット・チベット語などにおける 転写方法/文字コヌド割り圓お の䞀芧」, 1998. URL: http://www.vacia.is.tohoku.ac.jp/member/aiba/indo/codes.html

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