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愛知県北設楽郡東栄町御園には「御園花祭り」という祭がある。
これは「遠く鎌倉・室町時代に山伏や修験者によって天竜水系のみに 伝えられた700年余りの伝統をもつ奇祭であり,40数種類の 舞が夜を徹しておこなわれ」 [御園花祭り (Jun. 14, 2000)] (関連: [ 花まつりの館 花祭について |花祭の次第 ]) るものであるらしいが、その祭りの最後を締めくくる舞が「外道狩り」 と呼ばれるものである(ただし舞ではなく、舞の後の神事)。
この花祭における「外道狩り」の模様を Youtube で探したら、あった! ‥ので さっそく見てみた。
また、東栄町と比較的近い愛知県鳳来町七郷一色字黒沢という 集落には「黒沢おこない」という行事が伝えられている [鳳来寺・設楽周辺のご紹介 (Jun. 14, 2000)]が、 この行事においても一連の舞の最後に「外道祓い」なるものが 行なわれるという。
この両者は地理的に近いこともあり、「外道狩り」と
「外道祓い」のもつ宗教的意味合いは非常に近いものと
予想される。(ただし、両者の式次第をざっと眺めた感じでは、
なんか全然違ってるような..^^;
)
これら2つの祭以外でも、 御園とおなじ東栄町の下粟代地区の花祭の最後にも 「外道払い」なるものがあるらしいが、その模様を撮影した動画が Youtube で公開されているのを発見! おおっ!!
見てみたところ、以下のような感じか。
この下粟代地区の花祭の外道払いについて、私が持った印象は:
「祭のあいだに注連縄についた魑魅魍魎を、刀で集めて、封印した。 これで一帯の魑魅魍魎(の一部?)を退治した」こんな感じ。つまり注連縄が魑魅魍魎に対するハエ取り紙というか、 コンビニとかにある「バチッ」という虫取り機(電撃殺虫器)のようになっている。 そしてたぶん花祭の「舞」が、虫をおびき寄せる紫外線みたいな役割を果たしていて、 それで魑魅魍魎をおびき寄せた結果、魑魅魍魎が注連縄にひっかかって、 そんな感じで引っかかった魑魅魍魎を払う神事。それが「外道払い」という感じか。 (御園の場合は注連縄がないのだが。 これについては、舞の前におこなう神事の最後に「しめおろし」なるものがあるので、 ひょっとして前が始まる前に注連縄を取っているのかもしれない。よくわからないが‥)
ということはつまり、ここでの「外道」というのは 「人にとっては嬉しくない魑魅魍魎」という意味だな。 ほかに考えられない‥。
[Table of Contents]ここでの「外道」は人ではない。魑魅魍魎、つまり スピリチュアルな領域の存在で間違いないだろう。
あと、これらの祭は山伏・修驗者によって始められたと言われている わけだけど、修験道あたりにおけるそのへんの流れもいちおう見ておく 必要はある鴨。
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