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Who knows what a GURU is? (歴史篇)

「グル」の歴史を見てみよう。

[Since 1999/10]


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ビシュヌ教FAQ抄訳

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はじめに

ここまで。なんか流れのまま書いてたら、いきなりヴァッラバ派などという、 日本でもあまり知られていない(私もよく知らない)人らの話になってしまって、 あまりに訳わからなさすぎだろ?! ‥という感じになってしまってます。

 そこで、ここでちょっと話を戻して、ヴァッラバ派を含む、 もうちょっと大きな集団であるヴィシュヌ教についての簡単な話を してみたいと思います。

[ 1999/5 ]


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ヒンドゥー教、ヴィシュヌ、シヴァ

非常に大雑把な書き方をしてしまいますと、 いわゆる「ヒンドゥー教」と呼ばれるものは、 vaishnava (ばいしゅなば:ヴィシュヌ教) と saiva (しゃいば:シヴァ教) に二分することができます。

 ヴィシュヌを最高神とする人たちが「ヴィシュヌ教徒」で、 シヴァを最高神とする人たちが「シヴァ教徒」というのは、 理解しやすいと思います。

 そのうえで、soc.religion.vaishnava というニュースグループに 定期的にポストされる以下の FAQ をご覧ください。

所謂「インド六派哲学」の中にヴェーダーンタ学派というのがあるのですが、 その学派が 10 世紀あたりのラーマーヌジャの頃から ヴィシュヌ教神学的な色彩を深めていきました。

 で、それ以降のヴェーダーンタ思想の学派の展開は、 ヴィシュヌ/シヴァ教の宗派の展開と、密接な関連を持つことになったわけです。

 そして。ここで話題としているヴァッラバ派の人たちもまた、ヴィシュヌ教の 宗派のひとつに位置づけられます。15世紀頃ですよね。

ちなみに Vallabha 派についての言及がある Web ページに以下があります。(めもめも)

あ。上の FAQ には bhakti に関する説明と呼べるものがない! (^_^; . . . これは今後の課題!!


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ビシュヌ教FAQ抄訳

soc.religion.vaishnava -- Frequently Asked Questions (FAQ) の III. Some Questions about Vaishnavism の部分の和訳、 じゃなくて私なりに日本語で整理してみたものです。ですから、 あちこちテキトーに端折って書いてますが、ご容赦願います。 (だって訳は面倒だし、わかんない箇所がけっこうあったりするし‥)
1) Vaishnava って何?

Vaishnava というのは Vishnu に帰依している人/集団のことです。

2) Vishnu って誰/何?

Vishnu というのは Veda あるいはその補助的な書物で崇拝されている神格です。 Vaishnava な人たちによれば、それが Supreme Lord であり、 聖典のすべてにおいて根本的に称賛されている唯一の存在者です。 Vishnu が the Lord であり、[万物の根本]原因であり保護者であり 既知未知なる一切万物の破壊者であり、一切束縛・開放の原因なのです。 かれは壊不壞なる一切物の領域を超越しています。 かれは一切の欠点から離れており、また無数の良き属性を具有しておられます。

5) Vaishnavism の創設者って誰なの?

この人が…という方はおられませんし、 Vishnu への崇拝が どの年代に始まったのかを示すこともできません。 Vaishnavism の学派の中には、偉大な師によって形成されたものもありますが、 それらの学派も、彼らが(何もないところから学派を)創設したとは いえませんので、多くの場合、年代はもっと遡ることになります。 これらの師たちが、ある教義に基づいた学派を形成したとしても、 彼らがそのような教義を(何もないところから)創設したのではなく、 既存の流布していない学説を復活させたか、それを発展させたか したわけですからね。

6) Vaishnava な人たちは他の神様への礼拝をするの? なぜするの?/なぜしないの?

他の神様へも敬意を払います。しかし、それらの神様を Vishnu と同格と 見なすことはありませんし、同じ気持ちで崇拝することもありません。 Vaishnava は、Supreme Lord あるいは無限な存在者である Lord Vishnu のみを信仰していますので、一神教といえます。 さらに Vaishnava は、その宗教的な行為においては、 つねに Vishnu を崇拝しています。

Advaita の一部は、Vishnu を含む神様は皆 saguṇa brahman (ブラフマンが属性を持ったもの) と考えますが、 この信仰は Advaita 全体のものではありませんし、 まして Vaishnava 全体のものでもありません。
[私のメモ] Vaishnava な Advaita って madhusūdana sarasvatī (15-16c)あたりからなのかな???

なぜ Vaishnava は他の神様を崇拝するかという疑問への答は、 学派によって異なります。しかし大雑把にいえば、 他の神々は Vishnu の conduit/representative として崇拝されるのです。

7) Vaishnava な人たちは礼拝に Vishnu の像を使うの?

はい。でも礼拝される像は決まっています。また 像の形とか、礼拝の規則などは学派によって異なっています。

8) Vaishnava な人たちは rebirth を信仰しているの?

「解脱に至るまでの転生(rebirth)」というのは Vaishnava の教義の基本です。 Vaishnava な人たちは、Vishnu への献身的な奉仕によって、 生死の繰り返しのサイクルからの解脱を目指しているのです。

15) Vaishnava な人たちには guru-s がいるのですか?

`guru' の定義はこうです: 「その方自身の中に一切の疑念がなく、他人の疑念を除く方」
Vaishnava の多くは、偉大な saint/ācārya のうちの誰かを 根本 guru (mūla-guru) と考えています。また一部の人たちは、 現在おられる偉大な scholars/saints の中にも guru-s がいると 考えます。

17) Vaishnava にもいろいろあるの?

はい。割と重要な学派はこんな感じです:

i) Smārta 派 (Advaita // 不二一元論)
ii) Sri-Vaishnava 派 (VishishTādvaita // 非限定者不二一元論)
iii) Mādhva 派 (Tattvavāda, aka Dvaita // 二元論;不一一元論)
iv) Gaudiya-Vaishnava 派 (Bhedābheda // 不一不異論 ?)
v) Vallabha 派 (Shuddhādvaita // 純粋不二一元論)
vi) Nimbāraka 派 (Dvaitādvaita // 二元論的一元論 ?)

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