安倍晴明が対峙する「外道」
博物館でたまたま見つけた事例です。
「陰陽師と式神・外道 復元模型」という展示があったんですよ。
「不動利益縁起」(東京国立博物館蔵)による再現模型。安倍晴明
が師の病気を弟子に移して平癒させたという場面で、安倍晴明の
傍にいる人が弟子。その傍らの二匹は式神、向かいの五匹の妖怪
が師の病の原因である。妖怪の中には、道具が変化したものも見
られる。
(秋田県立博物館編(2017)「特別展 妖怪博覧会 秋田にモノノケ大集合!」p.24)
この復元模型の初出は
国立歴史民俗博物館の「異界万華鏡—あの世・妖怪・占い—」(2001/7)ですかね。
ここで「外道(魔物・妖怪)」と明記されています。まさに日本の民俗学的な用例だなー、
民俗博物館だしなー、といった感じではあります。
でも先にあげた引用文では「師の病気を弟子に移して平癒させたという場面」と
書かれてましたから、ここでの
「安倍晴明が外道(魔物・妖怪)を退治しようとして祈る場面」の「退治」は
ちょっと違うのでは? と思わないこともないですけど、どうなんでしょう?
それとここでの「外道」どもは
アレですね。水木しげる先生の絵に出てきそうな感じの、どことなく憎めない感じの
姿で描かれてますね。いちおう「病の原因」となってますから、悪役であることは
間違いないんですけど。
でも。ここでふと思ったんですけど。安倍晴明とか陰陽師関係の記述では
魔物・妖怪という意味で「外道」が使われてたりするんでしょうかね。
この模型の元になった絵は「不動利益縁起」という名前のもので、ここでは
特に「外道」という単語は使われていませんから、元絵が描かれたとき(鎌倉時代?)に
絵中の魔物どもが「外道」と呼ばれていたかは定かではありませんし
(ちなみにこの絵、類似のものが何本かあるみたいです。ネットで検索すると
[ 重要文化財 伝宅間法眼筆紙本著色『泣不動縁起』絵巻 ] (京都・清浄華院) というサイトがすぐ見つかりました。東京国立博物館のものとは
細部が微妙に違っていて、東京のは火が無着色)。‥
どこから調べるといいのかな? (続く‥かもしれない)