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現代日本における外道ども

現代日本における「外道」の用例で、気付いたものを集めてみました。

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Comic::空が灰色だから(2012)

阿部共実「空が灰色だから」というマンガで「外道」を見つけました。 『週刊少年チャンピオン』2012年19号(4月)です (コマを確保せずに本誌を手放してしまいましたので、このページの絵は コミックスから)。 まずは以下に用例を:

「大体 文体からして パクリ丸出しなのよ 外道めが」 (阿部共実(2012)『空が灰色だから』秋田書店. 2巻p.152)

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あらすじ

 ある日、少女は気付いてしまったのです。有名な小説を読んでみると、なんとそれは デビュー前で未発表な自分の作品の「おもしろプロット」の丸パクリであることに。 「主人公が学園一の美少女とか 主人公に惚れる男キャラも 強豪バスケ部のエースとか  学年一の秀才のメガネ男子 とか // 普通ここまで 設定って 偶然で被るワケ ないでしょ?! // 女主人公の恋物語っていう 斬新な私のアイデアを 私がデビューするより先に 盗作するなんて  卑怯にもほどがある!」(p.152)‥‥そして少女は叫ぶのです。

「大体 文体からして パクリ丸出しなのよ 外道めが」
‥‥え? でも、そういう設定って、ありがちなんじゃね? そう思う人もいるかもしれません。 実際、クラスメートたちはそういう疑問を呈するのですが、少女はこう反論します。
「ふぁ〜〜〜〜〜〜〜!? だって日本語で しかも若者言葉を 混ぜてるなんて そのまま私の 専売特許じゃない // そのうえ主人公が人間で しかも10代で 恋愛物って ここまでそっくりなのが 偶然なワケないで しょうがあ〜〜 // あんたの目は節穴 ぬわんですか〜〜〜!?」 (阿部共実(2012)『空が灰色だから』秋田書店. 2巻p.152)
‥‥まあ、1回分のページ数がそんなに多いわけではない読み切り連載なので、 かなりステレオタイプ的に、わかりやすい形で誇張されているのでアレですが、 それでも なんかちょっと心に来るものがありますね。 古傷をえぐられているような何かが‥‥ というのは本ページの中身とは関係ないのでアレですね。

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外道=ルール違反的な?

 さて、ここの「外道」についてですけど。‥‥んー。 「外道」と繋がる何かというのが「パクリ丸出し」しかないですよね。 非常に抽象的というか、何か具体的なイメージがある訳ではない状況で、 単なる「ルール違反なヤツら(と彼女が勝手に思い込んでる人たち)」に 対する罵倒の表現として「外道」を使ってるだけ、という感じに解釈しておきます。

 ただ。んー、なんとなくの私の印象なんですけど。チャンピオンで見たときは 感じなかったんですけど、(この「外道」のコマのためだけに(?)わざわざ購入した) コミックスで改めて見直してみると、この「外道」という単語、 かなりキツい、というか、このマンガにしてはかなり思い切った 汚い、というか、きわめつけな憎悪が込められた罵倒の言葉かな、という 印象を受けました。類似の表現として「ボケ」(p.75,p.132) 「このスカタンが!」(p.108)というのもありますけど、 何が違うのか‥。「ボケ」「スカタン」は目の前にいる相手に 向かって直接言ってたり、あと「ボケ」は全部男子が言ってる、 「スカタン」は男子に言ってる、などの違いはありますけど、んー、 「外道」ほどの強い憎悪はないようにも思うのですが、どうかな。 一般に、よくわからない・よく知らない(妄想・偏見混じりの)相手は 憎悪の対象になりやすいですからね。それに対して、たとえば 「信じていた」の回の「ボケ」はちょっと判断に迷うところですが、 でもあれは憎悪というより 目の前にいる相手や、その言動に対する 単純なムカつき・怒りですよね。

 そういう点では、ここでの「外道めが」に込められた(妄想混じりの) 憎悪とはやっぱ、完全にちがう種類の発言のように思えます。

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ところで

本作の作者の阿部共実さんに興味がある方は、 「大好きが虫はタダシくんの」という作品がネット上で公開 [pixiv]されていて、 けっこう話題になっているようですので、そちらをどうぞ。

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