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Who knows what a 導師 is?

「グル」の訳語としてよく使われる「導師」という語について。


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SF・特撮系

From: YAMANE Shinji <s-yamane@vacia.is.tohoku.ac.**>
Newsgroups: danwa
Subject: Guru in fantasy (Re: BSD Guru)
Date: 04 Oct 1999 05:46:41 +0900
Message-ID: <19991004054641O.s-yamane@vacia.is.tohoku.ac.jp>

グルと導師の対応関係についての覚書。

> 妄想するに、「導師」って禅の言葉ですよね。

日本人の発想というよりも、カリフォリニア経由の仏教学が輸入された影響と
考えたほうがわかりやすいのでは(^^)。

> もっとも「尊師」の方がポピュラーみたいですけどね。

「尊師」の元ネタは1980年代に流行した伝奇小説(ファンタジーノベル)だと個
人的に推測しております。角川ノベルズとかコバルトとかハヤカワSFとか、ひょっ
としたらサンリオSF。
ためしにファンタジー/SFにおけるグルの用法に注目してみます。

(i)ゲーム
「ファイナルファンタジーVI」には「導師のローブ」というアイテムがありますが、
これはグルとは読まない。西洋の魔導師(sorcerer, wizard)が元ネタですね。

(ii)武侠小説
金庸(1924-)という「東洋のデュマ」と呼ばれる武侠小説家がいるのだが、
        URL: http://www.usio.co.jp/books/ISBN4-267-01500-7.htm
        URL: http://www.med.osaka-u.ac.jp/image/sasama/priv/p_haya08.html
これも導師をグルとは読まない。

(iii)戦隊アクション
武侠小説といえば、カンフー映画。
 そういえば中国拳法を使う戦隊もので「導師」というのがでてきたと思って
調べてみたら「道士」だった。
   Linkname: 五星戦隊ダイレンジャー
        URL: http://hiroshima.cool.ne.jp/tisato_b/chiaki/drothers.htm
あと「老師・グル」というキャラのもいたが、「ろうしグル」と呼ばれていた
のでグルというのは老師の対応語ではなくて名前なのかもしれない。
   Linkname: 重甲ビーファイター
        URL: http://hiroshima.cool.ne.jp/tisato_b/chiaki/takuya.htm

ここまで調べた結果、ファンタジー分野で導師やグルに近いものはみつかるのだが、
導師=グルと直接対応させている例は見つからなかった。しかも尊師もみつからず。
外れまくり。残るジャンルはSFだが...。

(iv)東洋趣味SF
 カリフォルニアのSF/ファンタジーにおけるグルと導師の結合について思い当
たるのがないけど、やっていそうなのはP.K.ディックとかバリントン・ベイリー
「禅銃〜ゼン・ガン〜」とかか。
        URL: http://www.blk.mmtr.or.jp/~nabesan/d-9.htm#98078
でも本を持ってないんだよなあ。これについてはまた後日。

P.S.
news:alt.internet.guru 
というニュースグループがあった。
‥すげー。番長、あんたやっぱりスゴいよ!(^o^)
From: YAMANE Shinji <s-yamane@vacia.is.tohoku.ac.**>
Newsgroups: danwa
Subject: Re: Guru in fantasy (Re: BSD Guru)
Date: 17 Oct 1999 21:25:52 +0900
Message-ID: <19991017212552O.s-yamane@vacia.is.tohoku.ac.jp>

1975-6年に執筆された「時空ドーナツ」というSF小説が1998年に訳されている
のだが、それのグルの用法は以下の通り。

クルトフスキは地下に潜り、イーストサイドのどこかに自分専用の巨大な研究
室を建設したといわれている。クルトフスキと会ったことのあるエンジェルは
アンディ・シルヴァーとミック・ストーンズだけ。ふたりの婉曲的なコメント
から、クルトフスキは多年にわたる献身的な研究の結果、導師(グル)以上の存
在になったのだとヴァーナーは考えていた。
(ルーディ・ラッカー「時空ドーナツ」p.90)

これは学者が発明によってすごい力を手にいれた、という意味なんだろうけど、
「導師以上の存在になった」という訳では、宗教的に崇拝されているような誤
解を招くので、いい訳ではないと思う。
うん。確かに「導師」という単語だけ、浮いてますよね。 翻訳の人も「何でここでguruなんて単語が出てくるんだろう」と思いながら、 でもguruという単語を感じさせる何かを翻訳に出さない訳には行かないよなー、 と考えたらこんな感じになった、といったところでしょうか。
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