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摩訶摩耶經

摩訶摩耶經 (大正No.0383,Vol.12 [SAT];曇景譯)の大雑把訳です。

(まだ準備中です)


[前] 悪魔との約束

仏滅は三月後に

かくて如来は天魔の願いのとおり、その三月後に涅槃に入られる こととなりました。つまり、限りなき寿命をお捨てになられ、 神通力により三月の命とされたのです。そのとき、六種類の地震が起きました[a09]。 太陽も輝きを失い、風雨もいつもと違います。 天龍八部衆たちは皆恐怖し、仏のもと、その上空に詰めかけます。

 そのとき。尊者阿難はこの様子に気づき、驚いて身の毛がよだちました。 仏のもとに駆けつけ、仏に申し上げます。「いったい何が起こったのでしょうか」と。 仏は阿難にお告げです。「悪魔波旬がここに来て、私に涅槃して欲しいと 言ってきたのだ。私はそれを聞き届け、寿命を捨てた[a13]。 神通力にて三月の命とした」と。阿難は申します。「世尊はいつも仰せでした。 四神足を身につけた者の寿命は一劫となり、その劫が終わるまでこの世にいることができる、 そのあたりのことは意のままである、と。どうして如来は寿命を縮められたのですか」と。

 如来は阿難にお答えです[a17]。 「さっき私はおまえに同じことを言ったぞ。しかし悪魔がその言葉をかき消したため、 おまえは気づかなかったのだ。すでに話はついた。寿命はなくなる。 阿難。覚えておくがよい。一切諸行法はすべて かように常ならぬことを」と。 阿難は仏のこの言葉を耳にして、迷悶懊惱して自制できなくなります。 悲號啼泣して深く後悔し自責するのでした[a21]。

 世尊は阿難とともに諸国の村落をを遊行され、教えを説き広げられ、 数えきれないほどの人たちを教化されました。 やがて鳩尸那竭國の力士族たちの地に到着されました。 熈*連河のすぐ近くの、娑羅雙樹の間で、阿難に仰せです。 「寝床の用意をたのむ。頭は北にする。身体がものすごく痛む。 この中夜に、涅槃することとなろう」と。 阿難は指示どおりに寝床の準備をしました。 仏は、右の脇腹を地面につけて横になられました[a27]。 仏が臥せられるのを目にした阿難は 仏の背後に隠れ、 悲しみを自制できずに涙を流し、悩み苦しみます。 世尊は比丘たちに、阿難がどこにいるのかと尋ねられます。 比丘たちは答えます。「仏のすぐ背後で、泣き苦しんでいます」と[1011b01]。

 如来は、大慈悲により梵音にて阿難に仰せです。 「もう嬰児のように泣くのは止めよ。何故ならば。生死は すべての者の定めだから。 ひたすら諸法の思惟に専念するのだ。 汝は、ずっと昔から私に付き添っていたが、身口意の行いのすべてが善良であり、 ほんの少しの過失さえも見ることがなかった。今からは ひたすら解脱を求めて励めよ。 悲しみを我慢し捨て去り、辛い悩みを無くすのだ」と[b06]。

[次] 最後の弟子・須跋陀羅