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摩訶摩耶經

摩訶摩耶經 (大正No.0383,Vol.12 [SAT];曇景譯)の大雑把訳です。

(まだ準備中です)


[前] 摩訶摩耶の不吉な予感

摩訶摩耶の悲しみ

そのとき尊者阿那律は、如来の身体が棺桶に入れられたのを見て、 忉利天にのぼり摩訶摩耶のもとを訪れ、偈を述べます。

「最勝の 皆を導く 大師さま 輪廻の海超え いま身をお捨てに
鳩尸那竭の 娑羅の林の 双樹の間 もうじき城出て 供養し闍維にす
神々と 人の八部が みな号泣 大地も震動 その数三千[b14]」
そして阿那律は如来の棺のある場所に還ります。

この偈を聞いた摩訶摩耶は卒倒します。

天女たちが 冷たい水を顔にかけるうち意識が戻り、 自分で頭髪を抜いたり、荘厳具をひきちぎったりして涙を流しながら言うのです。 「私は昨夜、五つの悪夢を見た。あれは仏が涅槃に入られたことの知らせに違いない。 そしていま阿那律が来て、仏が双樹の間で滅され、じき闍維にされると言った。 苦しすぎる。世間眼が滅されるとは。速すぎる。人天の幸福が尽きるのは[b22]。 むかし白浄王宮にいたとき、仏が生まれて七日で我が命は尽きてしまった。 子を抱いたり育てたりといった母子の情を通わすこともなく、 摩訶波闍波提を乳母として迎え、預けるしかなかった。 そして彼が成長して十九歳になったときに城を抜け出し、王宮の内外に 悲しみ悩みのない場所はないと知り、成道し世間の慧眼を開き、 皆を守護する慈父のようになられた。どうして涅槃に入られたのか。 無常とは凶暴じゃのう、我が正覚の子を殺してしまえるとは」と[b28]。 そしてそこで、偈を述べます。

「これまでは どの生涯でも 母子の縁 子どもが悟って 今その縁切れ[1012c01]
我が息子 涅槃に入り 生尽きた まるで鳥が依る 大樹の如き子よ
別れても その日のうちに また会えた 母と子として 生死を越えて
君ついに さとりに達し 輪廻断ち 滅した後は もう会うことなし」

[次] 摩訶摩耶、娑羅双樹に降臨