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摩訶摩耶經

摩訶摩耶經 (大正No.0383,Vol.12 [SAT];曇景譯)の大雑把訳です。

(まだ準備中です)


[前] 摩訶摩耶、娑羅双樹に降臨

母子の最後の会話

そのとき世尊は、超自然的なパワーを使って、棺桶の蓋を全部開けられました[a07]。

そして棺桶の中から、合掌して起き上がりました。師子王がはじめて 洞窟を出るときのような獅子奮迅の姿勢です。全身の毛穴から、無数の光明が 放たれています。その光明のそれぞれが仏の姿となり、その皆が 摩訶摩耶に合掌します。やさしい声で母様に申し上げられます。 「はるばる この閻浮提に来られましたのに。世の定めですし、 お嘆きなされますな」と。

そして、母様にかような偈を仰せられます[a12]。

「功徳なら 仏教僧が いちばんで 女性は玉女が 最高の宝
我を生む 母親こそが 偉大なり 仏法僧が 生まれる契機
それゆえに 棺桶より立ち 合掌し 生みの恩義に 我は報いた
仏滅の 後も法僧 残るので 母よ嘆くな 諦観が大事[a20]」
世尊がかような偈を仰せましたので、摩訶摩耶は落ち着きを 取り戻しました。喜びの表情を浮かべ、それはまるで蓮華を 敷き詰めたようです。

そのとき阿難は仏が起きられるのを見、さらに 偈を唱えられたのを聞き、涙を流して嗚咽しそうになるのを必死に 我慢しながら、仏に合掌してこう申し上げました[a24]。 「後世、私はきっとこう聞かれるでしょう。世尊が涅槃に入ろうと された時、何を説かれたのかと。何と答えましょうか」と。 仏は阿難に仰せです。「こう答えよ。--- 世尊が涅槃に入られた後、 摩訶摩耶が天界から降りてきて金棺の場所にやって来られた。 如来は、のちの親不孝な者どものため、金棺から出て 師子王が奮迅する姿勢となり、全身の毛穴から無数の光明を放たれた。 それぞれの光明が千体の仏となり、そのそれぞれが皆 摩訶摩耶に 合掌した。そしてさっきの偈を唱えた、と」と。

阿難はまた申し上げます[1013b01]。「このお経の名前はどうしましょうか」と。 仏は阿難に仰せです。「私が昔に忉利天で母のため説法したこと、 そして今また母子で対面したとき説いたこと。 これを後世の者たちに『摩訶摩耶經』として伝える[b05]。 あるいは『佛昇忉利天爲母説法經』か『佛臨涅槃母子相見經』だ」と。

世尊はこのように仰せののち、母上に別れを告げられ、 偈を説かれます。

「我が人生 梵行すでに なし終えた 所作を尽くして 輪廻さよなら
母様の 安穏のみが 願いです 諸行は無常 寂滅こそ安楽」[b13]
世尊はこう語り終わり、棺桶を閉じられました。世界中が震動しました。 摩訶摩耶や衆八部は嘆き悲しまずにはおられません。

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