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ある本を読んでたら、たまたま見つけました。平安時代に「仏名会」という 仏教系の宗教行事というか、民俗行事というかがあって、 その行事を仕切る人、まあ仏教系の出家の人なんですけど、その人たちが 「導師」と呼ばれていたようです。
まず最初に「導師」を見つけた文書に関する情報を書いてしまいます。
和歌森太郎(1972)「仏名会の成立」『修験道史研究』(東洋文庫211;平凡社)1972年発行の書籍ですが、それは東洋文庫版がその時期に出たという話で、 本書が最初に発行されたのが1942(昭和17)年とのことです。「付録」として 付いている、「仏名会の成立」という章も1942年に発表されたようです。 ‥‥てか、どうでもいいことですけど、この『修験道史研究』は 卒業論文をまとめたと書いてありますけど、マジかよ! ‥‥
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[Table of Contents]さっそく平安時代の用例を挙げてしまいましょう。というか、平安時代の用例を 引用している和歌森1972の記述をそのまま引いちゃいます:
また、この日本における行事の見本・雛形となるような行事は中国やインドには見当たらない ようです。(和歌森1972, p.369)
[Table of Contents]では、そうやって「導師」をお招きして執り行う「仏名会」とは、どのようなものか。 また同書からの紹介になりますが:
この仏名会、じつは浄土宗では今でもやっているようなのですが、 現在のスタイルと鎌倉期の関係とか違いとか、 そういった点については全然わかりません。
[Table of Contents]さて、この仏名経については このページの下のほうで簡単に紹介しますが、まあ簡単に言ってしまえば 仏様のお名前をズラッと列挙してあるお経です。 つまり「仏名会」というのは、導師様をお呼びして、 仏様のお名前を列挙したお経を読んでいただく会、という 感じになりますかね簡単に言ってしまえば。
んで何故そんなことをするのかといえば。 「それぞれの罪障を懺悔し、その消滅を願って」のことだそうで。 つまり、現在でも「なんとなく、そういう気がしないこともない、というか 実際そうなってくれればと思わないこともないよ」という人も 意外と多いと思うんですけど、仏様の名前をお呼びすることによって、 ましてプロの呪師であるはずの導師様をお呼びしてやっていただくわけだし、 絶対自分の罪業が減るはずと彼らは思っていた、ということですよね。
ということで一応まとめてみますと、当時の「導師様」は何を導くかといえば。 当時の圧倒的な先進国である中国から伝来の仏教という超強力な呪術のパワーを用いて、 我々の罪業を除去せしめハッピーな状況に導く師匠‥そんな感じですかね? 他の用例は不明ですけど。
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