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1968年にアメリカで製作されたTVアニメ "Fantastic Voyage" (1968) [Wikipedia] に登場するキャラの中に The Guru という呼び名の人が出てくるみたいです。 この人、アニメのオープニングで
他の主要登場人物は 指揮官、医師、エンジニアなど、「いかにも」な感じの人たちなんですけど、 何故そこに「ミステリアスパワーの主」が加わった プロジェクトチームが作られたのか。 どう見ても、一人、浮いてますね‥。そのへん、とてもミステリアスな設定になってます。
[Table of Contents]でも、なんで「グル」なるナゾの人物が、 このチームの一員に起用されたのでしょうか。 番組の第一回、チーム結成の際、グルを呼ぶ理由についてこのように 述べられています(大雑把訳)。
他方、グルのほうもチームの一員に選抜されたとき、 超自然的な能力でそのこと、チームの一員に選抜されたことを知り、 火の神様(Guruというとインド系かと思ってしまいますが、 火の神様となるとイラン系?)とこのような会話を交わしています(大雑把訳):
では、この「神秘、オカルト、霊、未知なること」の専門家であるグル師の 活躍をちょっと見てみましょう。第2話、船員がみな酸欠死してしまった ロケットへの潜入の場面です。ロケットに潜入しようとした一行ですが、 潜入口はロケットの噴射口しかない。ワオ! 潜入しようとしても、これじゃ 焼けこげてしまうよ!!、という場面。ここでグルは言うのです(大雑把訳):
Youtubeを探してみたら、いくつか動画がありました。 ちょっとグレー、いや、完全にブラックだろこれ? 的な動画もあるみたいですので、 いつ削除されてもおかしくない感じではあるのですが、こんな感じです:
Wikipediaによれば、 2011年にイギリスでDVDが出たみたいですけど。 日本語版DVDが出るのはちょっと‥いや、かなり厳しいでしょうね。 というかたぶん昔の吹き替え音源なんて残ってないでしょう。
[Table of Contents]じつはこのアニメには日本語版もありました。
「ミクロ決死隊 ハンナバーベラプロ 1968」 「いにしえの海外アニメ」 などのページによれば、 日本では「ミクロ決死隊」という題名で1972(昭和47)年に放送していた。 縮小するとき「ミクロー、イン!」の掛け声があった。そしてGuruについては:
(^o^)
(今だったら、どうするんでしょうね。
そのまま名前にして「ミスター・グル」みたいな感じですかね?)
(なんか、言われてみると
「ネンリキー」というのは聞いたことがあるようなないような微妙な気分‥)
ちなみに医師Erica Laneも日本語版では「ミスフラワー」だったらしい[URL]ですので、 当時は登場人物の名前には頓着しなかったんですね。
「ミクロー・イン!」とか「ネンリキー!」とか、Youtubeとかでシリーズ最初のあたりの オリジナル版をチラッと見た感じでは、それに相当するような叫びは見当たらないんですけどね。 日本版オリジナルの挿入なのか、あるいは何かのテコ入れということで シリーズの後半から入れられるようになったのか‥。 (第2話で "prepare to enter" というセリフがありますけど、 それなのかな? 確認できる事例が少ないので、詳細がよくわかりません。) いずれにせよ、あちこちのページを見てみると、どうやら ミスター念力の「ネンリキー」を記憶にとどめてる人は多いみたいですので、 実はそのセリフが日本語版オリジナルとするなら、なんか不思議な感じですよね。
それと日本語版の声優が納谷六朗さんだったようですけど。グルの声は 私個人の勝手なイメージでは 納谷六朗さんよりも声のトーンがちょっと低めな納谷悟朗さんのほうが 合いそうなんですけど。 納谷六朗さんがどんな感じで演じておられたか、見てみたい‥。
ところで。どうでもいいことですけど、なんか
「ミクロの決死隊」というマンガ(石川賢(1979)『宇宙長屋』) [URL]もあるみたいです。
けど、どう考えても この「ミクロ決死隊」とは別モノです‥‥よね? (^_^;
「ミスター・ネンリキ」という名前についてもうちょっと書くと。 英語版では「ミステリアスパワーの主」、担当領域も 神秘、説明できないこと、魔術、幻想‥ですから、この人の能力は とくに念力、すなわち超自然的なパワーには限定されていないはずです。 ‥いや、もちろん、念動力を使うこともありますけど。 でも念動力は なるべく使用しないようにしているんでしょうね。 何でも念動力で解決してしまったらストーリー展開が面白くなくなりますから‥。
念動力をあまり使わないという点について。 たとえば、このページであげたロケット侵入の際の例でも、 ロケットの中に直接ワープしちゃうとか、自分の念動力でロケットを操作するとかではなく。 "Prepare to Enter"状態に入って感覚を極限まで研ぎすまして、それで ロケットから吹き出す炎の動きを完全に読み、 パイロットに「右、左、上、左‥」のような指示を出して 危機を回避させています。これって「念力」なの?! と思う訳です。 (ちなみに。移動するときも他のメンバーと同様の仕方で移動しているみたいです(右図)。 一人だけ空中浮遊して移動とかいうパターンではありません。)
‥‥つまり。「ミスター・ネンリキ」という名前は、このグル氏の本作中での 活躍の内容に基づいて名付けられたのではなく、「なんかインドの山奥で修行してるみたいだし、 不思議なパワー持ってるみたいだから、そりゃもう『念力』だろ?」というノリで 名付けられたことが想像されます。(このへん レインボーマンのダイバダッタ師と 同じイメージですよね。) これはつまり1960年代後半の日本人が「修行者」に対して持つステレオタイプ的な イメージがそういうものだったんだな、ということだと思います。 「修行によって、念動力を身につける」と。 (念のために書いておくと「身につける」がポイントです。 生得的な能力に「覚醒」するのではなく、修行によって体得するところ。)
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