[前] あーらーだ・かーらーま をおもいだす |
かくて伝道の決意を固められた世尊。 ご自身がおさとりになられた内容を最初に説明するにふさわしい相手 は誰かについてのお考えをお巡らしになられます。
「やっぱ見ず知らずの人はイヤだよなー。ある程度、気心の知れた 人でないとなー.. あ。そういえば昔、世話になったことがあるウドラカ・ラーマプトラ 氏なんてどうかな。なんか、くだらないことしてた奴だったけど、 オレの教えを理解して、改心できるほどの能力と度量は持ってた ような気がする。よし、そうだ。最初の布教相手はヤツにしよう」こう心をお決めになられた世尊は、お立ち上がりになられます。 すると世尊を遠まきにしていた神々から声がかかります。
「世尊、あの者はすでに昨夜、亡くなっております」お焦りになられた世尊は、さっそく『神々しい目』で彼の所在を ご確認になられます。たしかに彼は前の晩にこの生を終えていたようです。
「え。うそ」
「あーあ、もったいねーの。 せっかく、いいこと教えてやろうと思ったのになー。 あいつ、すげー損したぜ」
[次] ごにんのびくたち をおもいだす |