オープニングで主人公の五郎の半生のダイジェストが 流れるんだけど、これがまた絵にかいたような不幸な、いや 不幸を(わざわざ)絵に描いて見せてんだな。 これがなかなか当時の雰囲気を イメージさせていただいて、ヨイですね:-)
さて。監督はあの舛田監督ということで、ある種安心して、 またある種マンネリ感を覚えつつ、の観賞となりました。 最初の松原智恵子との出会いのシーンもまた、いつもどおり:-) (さらに「家出した友達に同情して家出してきました」とか 言ってるし。これと同じことを《太陽は狂ってる》(1960)で 吉永早百合が言ってたぞ) 他にパターンを知らないのか、とグチのひとつも叩きたくなる ほどです。
さてさて。話が進んでいきますと、まず可愛がっている弟分 (藤竜也)が敵である上野組にラチされます。 弟分救出のため単身上野組に乗り込み、指をつめて詫びる五郎(渡)。 「よーし。そっちがそう筋通すんなら筋返してやる」 「ありがとうございます」 しかし弟分の身体はすでに冷たくなっていた。 「おい、そいつ背負って帰んな。 ついでにお前のこ汚ねえ指も忘れんなよ。 . . . なんだその面。まだ用でもあるのか?」 「. . . ある」おー。来る来る来る来る。 「上野、命はもらった」くぅーっ (^_^) 渡哲也、かっこいー!! (^_^) かくして最初の乱闘が始まる。土砂降りの雨の中、泥にまみれて 上野組の奴らとの乱闘。暗い画面の中、舞いおどるドスが光って見える。 . . . 結局、この乱闘は返り討ち状態:-(
そして藤竜也の死後 10 分もたたないうち今度は川地民夫が死ぬ。 この川地の死を目のあたりにした浜田光夫(川地の弟で、渡の弟分の設定) は故郷に帰る決意をする。高品格曰:
ヤクザもん、てもんはたいがい故郷(くに)をもってねえんだよ。 生まれも素性もわからねえ奴とか、 東京の、今じゃもうアトカタもなくなっちまったような路地裏とか。 そんな奴らは救いようがねえ..うーん。... たしかに映画だと「俺は身なし児だったが、ナントカ の親分に育てられた恩義が..」なんてパターン、よく見るよなあ。 さて、それはいいとして。故郷へ旅立つ浜田は、駅で 彼女と「そのうち一緒に暮らそうぜ」なんて幸せな約束をしている。うーむ。 たいてい、こーいうシーンがあるときはアレなんだよね。目があって 微笑む二人。ああ、これはもうダメだ:-( . . . ほらほら、やっぱり刺された。ショックのあまり、 手にしていた弁当とお茶を落とす彼女。お茶の容器が割れる。 あ。容器ってプラスチックじゃないんだ。
水原組の組長から浜田の訃報を知らされる渡。
「汚ねえことをしやがる。... 上野のヤリクチはいつも同じだ。 ... それより五郎さん。... 俺としちゃ何としても不本意なんだが。... ひとまずコレ(手切れ金)で水原一家とは縁が切れたと思ってもらいてえ。 それからな、これはオレのセンベツだよ」センベツの中身は拳銃だ。五郎、受けとらない。
「これで俺は一家と縁の切れたモトの流れ者だ。... そうなってみりゃオレはコレでやらなきゃおさまらねえことがある。... 俺のやりてえように、使いてえ道具を使って、やる。 だから、こいつはお返しします」おー、これでイッキにクライマックス. . . はまだ早かった。(70 分経過)
ここで何故か突然、 五郎の「アニキ」が病気で網走刑務所を仮出所してくる。 ちなみに「アニキ」は上野組の客分だった人である。 ひさしぶりに再会した二人だったが、すぐに 兄弟揃って弘前に行って堅気な生活でもするか、という話になった。
「だけどなアニキ、 俺には たったひとつ、やらなきゃならねえ仕事があるんだ」. . . なんて言ってるうち「アニキ」が上野組のヤツらにメッタ 刺しにされて殺されてしまう。五郎、さらに血圧があがるが、 とりあえず安全等のため、女たちだけ先に弘前に出発させてしまう。 さー。いよいよ舞台は整った (^_^) (88 分経過)
バーで盛り上がった最中、ちょっとトイレに立った上野組長の前に、 立ちふさがる五郎。暗い眼差しで組長を睨みつける。 まさに怨みのカタマリといった感じだ。かくして、 バーのステージで青江美奈が歌う「上海帰りのリル」を BGM にして、上野組の若手も含めての 2 度目の大乱闘に突入。 (音は歌声だけなんだよね。あれは結構いいね) 暗い画面の中、流れ星のようにキラリとドスが光る。 ドスで殺そうと思ったら、ドスに体重をのせる必要があるから、 ドスが飛び交うたびに人間の配置がめまぐるしく変わる。 夢のような時間:-) そして‥
「うう‥」歌が終るのと組長が刺されるのが同時。 音声も現実に戻る。組長を刺しおえた五郎は、苦しそうな表情をし、 傷だらけの身体をひきずって懸命に歩いていく。どこに?? ‥決まってるじゃん。明日に向かって、さ。
出所した直後、五郎は浅草寺にお詣りに行ってますけど。なんか空いてるなー。 早朝に行ったんですかね。浅草寺というと、なんか いつでも激混みしてるという印象しか、 私にはないですから、意外とそこに驚いてしまいました。
しかし、本当に不幸だったのは、じつは浜田光夫かもしれないね。 この人は、この映画より遡ること 8 年前に、 (『泥だらけの純情』かな??) 吉永早百合さんに
「俺は今チンピラだけどさあ、いつか...」なんてこと言ってたんだけど、なんと 8 年たってもチンピラの まま!!
(;_;)