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餓鬼草紙


 

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Introduction

以下の文書は、

絵巻物シリーズ『国宝 餓鬼草紙』京都便利堂(年代不明) [Shop]
この商品と同梱の解説書(?)に書かれている「詞書」の書き起こしを、 大雑把訳したものである。 元となった『餓鬼草紙』は京都国立博物館蔵(12世紀)のものである。 巻物そのものに書かれている文字は 私には達筆すぎてほとんど読めないため、そちらはほとんど参照していない。

東京国立博物館蔵『餓鬼草紙』は、詞書がないため大雑把訳できない。

[関連] 「地獄草紙」大雑把訳はこちら

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大雑把訳

本ページの関連資料として [ 餓鬼草紙 - e国宝 (京都国立博物館) ] がある。 本ページの大雑把訳を読む際は、 こちらの「e国宝」のページを参照しながら閲覧することを推奨する。

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詞書一

鬼あり 食水となづく。
長い髪は乱れて顔を覆いかくし 物を見ることもできません。 飢え渇きの火が全身を焼くのに堪えかねて、 河のほとりへ行って水を飲もうとするのですが。 そこに水を守る鬼どもが現れ、追いかけて叩こうとするので 逃げ惑うしかありませぬ。そこで 河を渡った人の両足からの滴りを嘗め、それで生命をつなぐのです。 過去に、酒を水で薄めて売った人。 ミミズが沈んでいても知らぬフリで酒を売った人。 これらの人が、これに堕ちます。

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詞書二

同じ食水餓鬼はまた、亡親のために水を汲んで施す人たちの、 その滴りにありついて飲み、それで生命を保ちます。

目連がはじめて六神通を獲得したとき、亡母の恩に報いたいと 願い、亡母の現状を見ると亡母は餓鬼になっておりました。 目連は悲しみ泣いて鉢に食物をいれて母のもとに趣き 食べさせようとしますが、母の口に食物が入る前に 焔となってしまうのです。悲しんだ目連は 仏のもとに参り、母を救う方法はないか伺いをたてます。

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詞書三

仏は仰せです。 「汝、飲食を用意して自恣の僧を供養せよ。そして、その 残飯を母親に与えればそれを食せることもあるだろう」と。 目連は仏の仰せに従い、残飯を持っていき亡母に薦めたところ、 それは焔にならず、思うまま食すことができたのです。

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詞書四

恒河のほとりに五百の餓鬼がおり、 無量劫のあいだ水を得られずにおりました。 河のほとりにおりながら、水がすべて火になってしまい 飲むことができないのです。 そのとき仏が河のほとり鬱曇鉢林下にお越しになりました。 五百の餓鬼どもは仏のもとに詣り「我が苦しみは 堪え難し。お助けくだされ」と申します。 仏はさまざまな鬼どものため慳食の咎を説かれますが、 鬼どもは自らの苦しみに気をとられ、仏言を聞くどころ ではありません。そこで仏はまず仏力により鬼どもに 水を飲ませ、そののち諸法を説かれました。 これを聞いた鬼どもは、たちまち餓鬼の姿を捨て、 天人の身体を得たのです。

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詞書五

鬼あり 焔口となづく。
その容貌は醜く、痩せて枯れて、口中で火が燃えていて 咽喉は針のようであり、髪乱れ爪長く牙尖り、 非常に恐ろしいものであります。この餓鬼が阿難尊者と会い、 苦患が堪え難いことの悲しみを語ります。 これを聞いた阿難尊者は憐れみ、これら餓鬼の苦しみを 救う手立てを仏に伺います。そして仏号を唱え、 諸々の布施をおこない、餓鬼の苦患を救うのでした。

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詞書六

仏が阿難に教えられたとおりに、修行者(比丘)が 鉢にいろいろな食物を盛り、

「南無多宝如来 妙色如来 広博如来 離怖畏如来」
このように四仏の御名を唱え、救抜餓鬼陀羅尼を七回唱えたのち、 肘を伸ばして清浄な地面に食物を移せば、 仏法の力によりムチャクチャ大勢な餓鬼ども皆が、 食を得て満足できるのです。

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関連資料