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1977年〜1982年に『週刊漫画ゴラク』に連載していた 雁屋哲原作、由起賢二画の『野望の王国』で見つけた「外道」です。 といっても私が見たのは、2002年頃に出た「完全版」のコミックスです。
[Table of Contents]まず「外道」の主な用例から上げてしまいます。
‥ここでは、いろんな人たちが「外道」と言ってますが、じつはこれら「外道」はすべて同じ一人の 男を指しているのです。
男の名は柿崎憲(一時、「川中島」と名乗っていた時期も)。 この柿崎という男がどういう男なのか。 これは語りだすと長くなりますし、本ページの趣旨とはちょっと違ってきますので、 ここではあまり語りません(ただ、私の知るかぎり、マンガ史上もっとも凶暴なキャラの 一人であろうとは思います)。 本ページの趣旨に沿って柿崎について語るとすると、こんな感じでしょうか:
「いろいろあって、エリート警察官僚であった柿崎は、 自分を酷い目にあわせた橘征二郎・征五郎兄弟を 単純に「憎む」という言葉では表現しきれないほどムチャクチャ憎んでいる。 橘征二郎・征五郎兄弟は、非常に仲のよい兄弟であるが、しかし同時に、 お互いに 自分の兄弟が 自身の野望の実現にとっての最大の障碍であると理解しており、 肉親の愛情と野望と陰謀と裏切りと猜疑心が複雑に入り組んだ関係である。 柿崎は兄弟のその関係につけこみ、兄弟の同士討ちを狙っている。なぜなら、それが 橘征二郎・征五郎兄弟が最も苦悶する状況であると理解しているから。 そして自分の立場を有利にするためには、たとえウソをついてでも利用できるものは 何でも利用する。たとえそれが自分に深い恨みを持つ相手だったとしても」。
‥つまりこの柿崎氏は、本作の主人公である橘征五郎とは 最終的には仇敵となる、 本作最大の敵役として位置づけられています。それゆえ柿崎氏が 他のキャラたちに すさまじく憎まれ、何度も、そして あちこちで罵倒の言葉を 投げつけられるのは まあ当然のことといえるんでしょうけど。 ‥しかし改めて見てみると、すさまじいほどの憎まれっぷりですね。すごいです。
これほど「外道」と言われ続けているのを目にすると、この柿崎氏こそ 「ミスター『外道』」と呼ぶに ふさわしい人であると、やっぱり思っちゃいますよね。
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