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現代日本における外道ども

現代日本における「外道」の用例で、気付いたものを集めてみました。

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1977年〜1982年に『週刊漫画ゴラク』に連載していた 雁屋哲原作、由起賢二画の『野望の王国』で見つけた「外道」です。 といっても私が見たのは、2002年頃に出た「完全版」のコミックスです。

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ミスター「外道」

 まず「外道」の主な用例から上げてしまいます。

「外道…………」 (完全版2,p.563)
「この赤寺を 銃で脅そう とはな……… // 外道めがっ!! // そんなことで 脅せる相手か 相手でないか 分からぬのかっ!!」 (完全版3,p.262)
「ち ちきしょう…… 柿崎の外道めがっ! 橘組長を罠にっ……! // 柿崎があの小田を…… 日本最大の黒幕の 小田を後楯にして いるとは…… 橘親分も気づいては いないはず……」 (完全版3,p.305)
「赤寺 お前は 県警本部長の福本と 県公安委員長の梅原に 話を聞かなかったのか」「う ううっ」 「あの二人が 尻尾をまいて 逃げだしたのに お前に何が 出来るというのだ // 赤寺 お前も 歯を全部 抜いてもらい たいのか」「げ 外道 めっ……!」 (完全版3,p.312)
「げ 外道っ ……!!」 「人間の位だとっ! 格だと 分だとっ! 毒入りの麦飯を 食らってのたうち まわるお前は何だっ!!」 (完全版3,p.379)
「柿崎めがっ! 汚いペテンを 使いやがって…… 橘組をダシにして 自分を市民のために 闘う英雄に仕立て 上げてしまった…… // あの悪党 がっ! ド畜生 がっ! 腐れ外道 めがっ!!」 (完全版4,p.56)
「お前が生き残るとは 限っておらんぞっ! 征五郎に寝首を かかれるかもしれん // いずれにせよ 兄弟が血を流して 争い合わねば ならぬのだっ!! // 苦しめっ!! // 苦しむが いいっ! // 地獄の苦しみを 味わえいっ!!」 「外道めがっ!!」 (完全版8,p.231)
「この悪魔めっ!!」 「私を悪魔と罵る 資格はきさまには ないぞっ!! // きさまは自分の 野望のために 兄をさえ平気で 殺す男ではないかっ!!」 「おまえのような外道に おれたち兄弟のこと を云々されて たまるかっ!!」 「ええい 放せっ!! // 云々されるのが 嫌なら撃ち殺して くれるわっ!!」 (完全版9,p.206)
「おのれ あん外道めっ!! // 大神楽の死が ばれる前にわしらの 力を利用して自分の 敵を倒しとこう ちゅう魂胆なんやな!」 「わしらの組長を殺して 保神会会長の座を 奪って乗り込んで 来おった上に 最後まで わしらコケにしよお ちゅうんかい!!」 「大神楽が死んだ今と なっては 川中島には なんの力も あらへん! // 組長の仇 討たして もらおうやないか!!」 (完全版8,p.559)

 ‥ここでは、いろんな人たちが「外道」と言ってますが、じつはこれら「外道」はすべて同じ一人の 男を指しているのです。

 男の名は柿崎憲(一時、「川中島」と名乗っていた時期も)。 この柿崎という男がどういう男なのか。 これは語りだすと長くなりますし、本ページの趣旨とはちょっと違ってきますので、 ここではあまり語りません(ただ、私の知るかぎり、マンガ史上もっとも凶暴なキャラの 一人であろうとは思います)。 本ページの趣旨に沿って柿崎について語るとすると、こんな感じでしょうか:

 「いろいろあって、エリート警察官僚であった柿崎は、 自分を酷い目にあわせた橘征二郎・征五郎兄弟を 単純に「憎む」という言葉では表現しきれないほどムチャクチャ憎んでいる。 橘征二郎・征五郎兄弟は、非常に仲のよい兄弟であるが、しかし同時に、 お互いに 自分の兄弟が 自身の野望の実現にとっての最大の障碍であると理解しており、 肉親の愛情と野望と陰謀と裏切りと猜疑心が複雑に入り組んだ関係である。 柿崎は兄弟のその関係につけこみ、兄弟の同士討ちを狙っている。なぜなら、それが 橘征二郎・征五郎兄弟が最も苦悶する状況であると理解しているから。 そして自分の立場を有利にするためには、たとえウソをついてでも利用できるものは 何でも利用する。たとえそれが自分に深い恨みを持つ相手だったとしても」。

 ‥つまりこの柿崎氏は、本作の主人公である橘征五郎とは 最終的には仇敵となる、 本作最大の敵役として位置づけられています。それゆえ柿崎氏が 他のキャラたちに すさまじく憎まれ、何度も、そして あちこちで罵倒の言葉を 投げつけられるのは まあ当然のことといえるんでしょうけど。 ‥しかし改めて見てみると、すさまじいほどの憎まれっぷりですね。すごいです。

 これほど「外道」と言われ続けているのを目にすると、この柿崎氏こそ 「ミスター『外道』」と呼ぶに ふさわしい人であると、やっぱり思っちゃいますよね。




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