Novel::女喰い(1988)
[Table of Contents]原作(小説版)
広山義慶. 『女喰い』 NON NOVEL 256, 祥伝社, 1988
上記小説の主人公、菅原志津馬が「外道」である、と言われています。
笠森の顔が俄かに綻んだ。
「そうですか。そこまで話してくれたんですから、私の
ほうも話しましょう。……奴は、外道ですよ」
「外道?」
佐々木が鸚鵡返しに言った。
「ヒモですよ」
「ヒモって……スケコマシのことか?」
佐々木刑事は身を乗り出して眼を丸くした。
「スケコマシ、ヒモ、ジゴロ---。呼び方はいろいろあ
りますが、要するに、女を喰いものにするとんでもねえ
悪ですよ。男の風上にも置けねえ野郎です」(p.19b)
「女を喰いものにするとんでもねえ悪」が外道、だそうです。
ただ、ちょっと気になるところもあるんですよね。
女に貢がせる、つまり女のヒモになるのは組員の基本的なシノギの方法です。警察庁
の分類では「女依存型」となり、末端の組員の代表的な生活様式になります。
(溝口敦(2011)『暴力団』,新潮新書434.,p.67.)
‥‥ヒモは末端の組員の代表的な生活様式であるなら、極道な人たちが
志津馬のことを「女を喰い物にする」といって非難するのは「おまえが言うな」的な
感じですよね。「あいつオレらのシマを荒らしやがって」的な
ムカつきの感情なのか。あるいは、現実はアレだが理想はそうじゃない的な
ある種屈折した思いが込められてたりするんですかね。この「外道」って。
[Table of Contents]どうでもいいこと
なお、この小説、けっこうハマるみたいです。
周囲にいた大学院生の人たち複数が、これを読んで軒並みハマってました。
[Table of Contents]マンガ版
上記小説のマンガ版:
原作・広山義慶,みね武,脚色・広尾満. 『女喰い』(1),芳文社コミックス,1995.
pp.17--19,55.
ここにも「外道」が出てきます。なお主人公の名前がちょっと変わり、こちらは
「菅原獅子馬」になってますが、このページ的には全く問題ありません、よね。
さっそく見てみましょう。
「“外道”ですよ」「外道……!?」「ヒモだよ ヒモ−− // スケコマシ
ヒモ ジゴロ −− 呼び方はいろいろあるが……… // 要するに
女を食いものにする とんでもねえ悪(ワル)だ」
「本当か!?」
「女(スケ)を撒餌(コマセ)て ソープやホテトル 高級クラブで
働かせて 貢がせる それがヤツの生業(なりわい)ですよ //
常に三人の女は 握ってるって話だ 六本木のビルだって
女から吸い取った金で買ったもんだ // ありゃ 完全に 女の敵だ //
男の風上にも置けねえ野郎だ // 警察(サツ)もなんで ああいう
外道を 野放しにしておくんですかい // 俺達みたいな
極道ばかり取り締まらないで たまにはああいう“外道”を
掃除してみたらどうなんです」(pp.17--19)
「いや…… // 関東の伝統的極道から見れば…… // 女を働かせて
貢がせるような俺たちスケコマシは // “外道”で 男のクズだ」(p.55)
[Table of Contents]Thanks to..
このページは 1998年頃(詳しい日時情報を失念してしまいました。すみません)、
留炎ラキさん からいただいた以下の情報によるものです:
週刊漫画に連載されている「女喰い」で主人公・菅原獅子馬が
「スケコマシは外道だ」と宣言しています。
この漫画、大人のうんちくが多くて好きです。
ご協力に感謝いたします
(_ _)