はこの世にただ一人。その他のものはみな従者。
(Meena)
うるばんうるばんむだらーでぃ、 うらきりまんぢゃばとりらーり。

ORUVAN ORUVAN


(holy verse BhG 2-27)
生まれた者に死は必定であり、死んだ者に生は必定であるから。
それ故、不可避のことがらについて、あなたは嘆くべきではない。−クリシュナ様

僕にとってタミルのイメージはそんなに良いものではなかった。 簡単に言ってしまえば「スリランカに侵略してくる、悪い人たち」という 感じだったのだ。でも最近のインド映画ブーム、とくに「ムトゥ踊るマハラジャ」 は僕のそれまでの偏見を打ち破るには十分すぎる映画だった。 こんなバカ映画(?)を熱狂的に支持する人たちが、悪い人であるはずが ないじゃないか!!!!

じゃ、なんで今まで僕は彼らのことを悪人と思っちゃってたんだろうか? きっと彼らは底抜けに単純なこと、仲間の信用を大事にすること、そして、 上にあげた聖句じゃないけど、そのためには自らの生命も惜しまないこと。 だから彼らは敵対する人たちから見ると「妥協を知らない悪者」に見えちゃう んだなあ、なんてことを、「ダラパティ踊るゴットファーザー」(だっけ?) を見て思った。 

主はこの世にただ一人。 

クリシュナ様は仰った。常に、なすべき行為を遂行せよ、と。 それが神への信義を貫く道。ただ一人の主は、すぐそこにいる 友達のようで、従者に対する主人のようで、そして恋人のようだ。 聖チャイタンニャはクリシュナ様への情熱的な愛を求め、 しばしばその情熱に圧倒されて気絶したという。 主はこの世にただ一人。そして、常に身近にいることを感じさせる存在。  歌の中に、踊りの中に、些細な戯れの中に、主は確かにそこにいる。

ムトゥは歌う。 少しの金があればおまえはそれを使える、 でも金が多いとおまえは金に使われる。 ムトゥの親父は笑う。 人は生まれてくる時も死ぬ時も裸だ。財産が何の役に立つのか。 笑われているのは僕かもしれない。 貧乏のくせに、お金に縛られてる毎日。 お金が無くなったらそこでゲームオーバーになっちゃいそうな人生。 そんな毎日から逃れられない自分。 なんか急に息が詰まってきたぞ。

ムトゥ踊るマハラジャがウケたのはそこに懐かしいものがあるからだ、 と誰かが言う。確かにそうかもしれない。 知らないうちになくなっていたものがそこにあるような… 

E N T E R
入 口

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TA 1999