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[memo] 李舜臣曰「日本之人變詐萬端、自古未聞守信之義也」

題 [memo] 李舜臣「日本之人變詐萬端、自古未聞守信之義也」
日付 2022.2
ネットで気になったこと



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はじめに

ふとネットで見かけた以下の言葉:

日本之人變詐萬端、自古未聞守信之義也。
(大雑把訳: 日本の人は何についても手を変え品を変えウソをつきます。 信義を守ったなんてこと昔から聞いたことがありません。)

この言葉、どうやら2019年頃から盛んになった 韓国の反日キャンペーンのあたりに誰かが言い出して、それが 広がったという感じのもののようですけど。

でもこれを見てふと思ったのです。「これって本当にある言葉なの?」と。 なのでちょっと調べてみました。


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出典

ネット上の噂では、どうやら韓国では英雄とされている (よく知らない)16世紀の軍人・李舜臣という人の言葉らしいということで 探してみたところ‥あった。割と簡単に見つかりました。 『李忠武公全書』という書物にありますね。具体的には [ ここ ] の 左側のページの5〜6行目にありますね。

『李忠武公全書』そのものの編纂開始が1795(正祖19)年らしいので、 この写本が作られたのはそれ以降だろうということしかわかりませんけど。 しかし国会図書館所蔵の写本なので、まあ、 20世紀に作られたとかいう話はなさそうです。

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背景など

ネットで時代背景などを簡単に調べてみました。これは 文禄の役(1592〜1593)、つまり 太閤豊臣秀吉による朝鮮出兵の第1弾の最中の話のようです。

 1593年1月(旧暦・文禄元年12月)に明の名将とされる李如松が参戦・朝鮮進軍。 1593年2月(旧暦・文禄2年1月)、 平壌城を占領していた小西軍と「第三次平壌城の戦い」が起こり、 小西軍は撤退。李如松はさらに漢城(現ソウル)に進撃、 漢城郊外で 小早川隆景・立花宗茂・高橋直次らの軍勢がこれを迎撃します。 これが碧蹄館の戦いで、結果、 明の李如松らの軍は大敗北を喫してしまいます。 明の李如松はこの敗北により戦意を喪失したらしく 基本方針を「撃退」から「講和」へと切り替えるほどでした。 方針変更については「敗北」以外にも深刻な兵糧不足が背景にあったようで、 この兵糧不足については明軍だけではなく日本側もかなり深刻な 兵糧不足状態だったようです。日・明ともに現場では兵糧がないので 戦争どころではない、と。

 そんな事情で日本と明は和平交渉に入り、 1593年5月(旧暦・文禄2年4月)、講和条件に基づき日本側は 漢城から釜山まで後退することになりました。‥が。 じつはこの講和条約は明が独断で進めていて、 朝鮮には「戦闘を継続すべき」との強い意向があったにもかかわらず、 その意向は全く無視されていたようです。 (講和条約によれば「朝鮮の南側半分を日本に割譲」のようでしたから、 朝鮮としてはそれは容認できないでしょうね)

 なので講和に納得できない朝鮮軍は勝手に反日武装抗争を 仕掛けます。けど明は和平交渉の妨害となるそんな抗争を禁止します。

 ‥と。その明からの交戦禁止の命令書に対して、当時の朝鮮の水軍の指揮官 であった李舜臣が「何で止めるんだよ?! やらせろよ!」という旨の 意見書を書いたのが残っていて、それが「答譚都司宗仁禁討牌文」と呼ばれる文書で、その中に冒頭で紹介した以下:

日本之人變詐萬端、自古未聞守信之義也。 (「答譚都司宗仁禁討牌文」『李忠武公全書』)
これがある、と。つまりすでに日本と講和条約を結んでいる明に戦争を 認めさせるためには明に「奴らと約束したって意味ねえよ! 奴らが 約束守るなんて話、これまで聞いたことねえし!!」と訴えて 明の心変わりを願うしか方法がない状況だったので そういう話をした、と。そんな感じなんでしょうかね。

(ところで。李舜臣が「日本人はウソつきだ!」と叫んだのも そんなに外れた話という訳でもなかったみたいですよね。 この日本と明との講和条約、どちらも現場の人たちの「講和したい」という 気持ちが強すぎたからか、両側で口裏を合わせてどちらも 本国政府には「敵方が降伏した。こちらの勝ちだ」と虚偽の報告をして 無理やり講和をまとめてしまったようですからね。嘘つきな講和だったことは 確かでした)

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おわりに

 いずれにせよ、ネットでよく見る上記の漢文は(少なくとも18世紀には) 実際にあったようです。‥というファクトチェックでした。


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