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[1-2]生殖器の大きさについての考察。男性生殖器にはその小なると中なると大なるとによつて序の如くシャシャ(兎)とヴリシャ(牡 牛)とアシュヴァ(牡馬)の三種がある。これに準じて女性生殖器にもそ の小なると中なると大なるとによつて序の如くムリギー(牝鹿)と ヴァダヴァー(牝馬)とハスティニー(牝象)の三種がある。
[3]相対応せる部族の男女の性交はサマ(等性)である。これに三種がある。
(1)シャシャ(兎)とムリギー(牝鹿)、(2)ヴリシャ(牡牛)とヴァ
ダヴァー(牝馬)、(3)アシュヴァ(牡馬)とハスティニー(牝象)。
[4]異れる部族の間の性交はヴィシャマ(不等性)である。即ち(1)シャシャ(兎)がヴァダヴァー(牝馬)若くはハスティニー(牝象) と交るもの、(2)ヴリシャ(牡牛)がムリギー(牝鹿)若くはハス ティニー(牝象)と交るもの、(3)アシュヴァ(牡馬)がムリギー(牝 鹿)若くはヴァダヴァー(牝馬)と交るもの。 [p.31a]
[5]これらの中で、高部族に属する男子が一級だけ下れる低部族に属する婦人と交る二つの場合をウッチャラタ(高き性交)と云ふ。即 ちアシュヴァ(牡馬)とヴァダヴァー(牝馬)と交るもの及びヴリシャ(牡 牛)とムリギー(牝鹿)と交るもの。
[6]高部族に属する男子が一級を隔てて低部族の婦人と交るものをウッチャタララタ(一層高き性交)と云う。これはアシュヴァ(牡馬) とムリギー(牝鹿)と交る場合である。
[7]反対に一級だけ下れる低部族の二種の性交がある。即ちシャシャ(兎)とヴァダヴァー(牝馬)、及びヴリシャ(牡牛)とハスティニー (牝象)。
[8]低部族の男子と一級を隔てて高き婦人との性交がある。即ちシャシャ(兎)とハスティニー(牝象)とである。
[10-12]一級を隔てた二種の性交はタラと称し最も劣り、その余は中位にある。この中位の分に就てもウッチャラタ(男子が高部族 なるもの)は然らざるもの(ニーチャラタ即ち男子が低部族なるもの) よりも佳い。
[13-16]熱情の度合による性交の考察。性交の間に熱情なく動作遅鈍に粘液少量にして婦女のクシャタ(熱情のあまり爪にて引掻くこと) に堪へざるものは弱性である。これに反するもの、勢力大に熱情烈 しく耐忍力強大なるものはその度合に随つて中性若くは強性である。 婦女も熱情の度合でかくの如く三種に分けられる。生殖器の大小に よつての分類の如く性交が等級若くは不等級なるに随つて亦九種類 に分たれる。
[17-18]交接の時間による考察。時間によつて亦三級の区別がある。即ちシーグフラ(速性)、マッヂャ(中性)、チラ(遅性)であ る。而して亦交接が等級不等級なるに随つて九種類に分れる。
[19]婦人は男子が精液の発射によつて得ると同じやうな満足を得るものでない。
[20]交接の行はれる間に婦女の生殖器に於ける痒感が男子の所為によつて軽減されるのである。
[21-22]婦人の生殖器に於ける痒感の除去は何れにしてもそれ自身では女性にとつてはさまで満足すべきものでない。これが接吻などの他の 情事に伴つて特殊な満足を生ずるのでそれが婦人の快感と考へる ものである。 [p.32a]
[23-25]ここに異論がある。男子及婦人の感ずる特殊な性交の快感は純粋に精神的なものであつて外部の感覚で知られない。お互の間の感 覚は互に知ることが出来ない。お互に対手の感じを知ることが出来 ぬから如何感じてゐるかを尋ねることは不可能である。だから如何 して婦人が男子のやうな快感を感じないと云ふことが出来やうか。 これに対してアーウダーラキは答へて云ふ。男子は精液の発射を以 て満足を得るや否や随意に性交を停止する。然るに婦人はさうはし ない。これが男子と婦人との感ずる満足の性質の異る証拠である。
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