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餓鬼について

[佛説救抜焔口餓鬼陀羅尼經]に 端を発して作成している「めも」です。


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餓鬼者と地獄者

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地獄者は人間の姿だよ

腑に落ちないことはまだあります。餓鬼の姿は上記のとおり 「醜く、痩せこけ、口中は燃え、喉は針のよう、髪はバサバサで」 「食べることも飲むこともできなくて、骨と皮だけ」の怪物、だって 六道の下から二番目の世界の住人だしさー。という感じになるんですけど。 でも、じゃあ、それよりももっと待遇が悪い「地獄」の住人たちの姿は どんな感じかといえば。‥‥明確な記述を見つけられなかったのでよく わからないんですけど。ということはつまり、フツーに人間の姿をしているんじゃ ないかという気がするんですよ。無論、地獄は以下:

(大雑把訳)「他人と顔を合わせたときは、まさに狩人が鹿に遭遇したようなもの。 ともに鉄爪を使い相手に掴み掛かり、切り裂く。すぐに血肉が飛び散りきって、 残るのは骨だけ。あるいは獄卒が鉄杖鉄棒を手にとって頭から足までを くまなく叩き、それで身体が破れ砕けるのはまるで砂塊のよう。 あるいはチョー鋭利な刃で肉をスパスパ切り裂く様子はコックが魚肉を 調理するよう。」 (源信『往生要集』から、いちばんラク(?)な「等活地獄」[SAT])
‥こんな有様ですので(あ。鉄爪なんて付いてんだ‥)、 最初の姿が何であっても別に関係ないじゃん、どうせすぐ肉塊と骨になるんだしさー、 という話にもなるんでしょうけど。 でも、最悪の「地獄」が人間のままの姿、 それよりマシな「餓鬼」が怪物の姿、というのは なんかイマイチ腑に落ちない ところはありますよね?

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餓鬼のほうがマシ

しかし「バケモノになる」という問題はあるものの、餓鬼は地獄よりマシなのは 間違いないみたいです。これは あちこちで見るものなんですけど以下:

其人命終墮大地獄 經歴受苦。從地獄出墮餓鬼中受大苦惱。從 餓鬼出五百生身墮在狗中。從狗出已五 百世中常生貧賤。常患飢窮種種諸苦。 [ 像法決疑經(T2870).pp.1336b14 ]
[大雑把訳] その人は死後、大地獄に堕ちて苦しむ。地獄から出ると、餓鬼に堕ちて大苦悩を受ける。 餓鬼を出ると、500回ほど狗(畜生)に生まれ堕ちる。狗(畜生)を出ると、 500回ほど貧賎の者として生まれ変わる。病気・飢餓などの さまざまな苦しみにあり続ける。

こんな感じの表現を見かけます。「悪人はまず地獄に堕ちる。その人の悪業が 「地獄にいるほどでもない」程度になってきたら餓鬼にランクアップ。‥狗(畜生)に‥ 貧賎で苦しみ多き者(だが人間)にランクアップ‥」と。いう感じで「六道」の 順番どおりに徐々にマシな状況にランクアップしていくんですね。

 堕ちるときはストーンと最下段まで まっしぐらに堕ちていけるんですけどね‥

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