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前のページで、『因果物語』の「餓鬼」がなんか仏教的な餓鬼と違うんじゃないか? ‥なんてことを書きましたけど。
ここで紹介するのが日本の「餓鬼憑き」というものです。Wikipediaを使って 簡単に紹介すると‥
そして、このWikipediaの説明の中に、この餓鬼とは何か? について答が書かれています (村上健司編著(2000)『妖怪事典』毎日新聞社. に書かれている情報のようです)。 この場合の「餓鬼」とは、仏教でいうところの あの「六道」のところに出てくる餓鬼ではなく、 「行き倒れ、餓死者の怨霊」であると。つまり「餓えにより亡くなった鬼神」=「餓鬼」という、 非常に自然な単語の再定義ですよね。
昔は、現在とくらべると「餓死」というのは割と日常的なものであった。 人々は、餓死者の怨霊を怖れ、餓死者の供養を 日常的に願っていた。それゆえ 「餓鬼」という言葉に「餓死者の怨霊」という意味が付いてしまうのは 非常に当然の話だった。‥‥といった感じでしょうか。 [参考: [book] 高山彦九郎(1790)「北行日記」にみる天明飢饉 ]
そしてそれは怨霊ゆえに、人に憑く。餓えて亡くなったものだから、疲れると猛烈に腹が減り、 動けなくなる。あるいは、ガツガツ食べ始めると止まらない。‥‥なんだ、『因果物語』の 餓鬼もやっぱ、こっちの「餓鬼」と解釈すると腑に落ちますね。 Wikipedia の「ヒダル神」の項を見ると、峠のあたりでの低血糖とか二酸化炭素中毒とかがその正体では? などの現代的な分析も紹介されています。なるほど。‥というか、「ヒダル神」で検索かけてみると、この神様は 妖怪としてけっこう有名みたいですね。
たぶん右に「ヒダル神」のイメージをつけましたけど。これがまた、 一般的な「餓鬼」とは全然違いますね。いかにも怨霊的というか。足も見えないですし‥。 つまり、仏教からきた「餓鬼」と、 「餓死者」からきた「餓鬼」というのは、たまたま「餓鬼」という単語が同じだけで、 ぜんぜん違うもの、それが混同されてる、という感じで間違いなさそうです。
[Table of Contents]‥と。こんな感じで、 「餓鬼」という単語の意味内容に、語源がまったく異なる二つの存在が含まれていて、 それが混用されているとわかれば。たとえばこういう文例:
麻原彰晃の誕生【電子書籍】[ 高山文彦 ] |
「餓鬼」の中に「餓死者の怨霊」という意味もある、と判明したところでなんか
スッキリしました (^o^)
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