「鬼」::中国近代
[Table of Contents]近代の「鬼子」とは?
中国には「日本鬼子」という言葉があります。
これ、日本人に対する蔑称のようなんですけど。
ウィキペディアを見ると:
鬼子とはもともと聊斎志異の画皮で記されている道士の魔物に対して使う蔑称であった。
当初は中国を侵略する西洋人に対して「鬼子」と蔑称していた。モンゴロイドと大きく異なるコーカソイドの顔立ちが魔物に見えたからである。日清戦争以降「鬼子」はもっぱら日本人を指す言葉となった。
現在は主に日本人に対する蔑称として使われる。「鬼子」といえば大抵の場合において日本人を指すが、より明確にするために「日本鬼子」を使う。また、「小日本鬼子」も使われる。なお、「洋鬼子」や「西洋鬼子」といえば西洋人を指す。
なお、「鬼子」は中国語圏において日本語の'人でなし’と相当する‥(略)‥
「仮鬼子」(假洋鬼子)は魯迅の短編小説『阿Q正伝』の中で使われた言葉である。最初は外国人を装う中国人を形容したものだったが、途中から外国人に媚びる中国人を形容する言葉となった。
(
Wikipedia::日本鬼子 [URL])
このようにあります。
ウィキペディアの説明をどこまで信用していいかわかりませんが、たしかに「道士」と敵対する魑魅魍魎→人でない→常人にあらず→東洋人と風貌がぜんぜん違う西洋人への蔑称(でも中国はシルクロード経由で西洋人との接触はそれなりにあったと思うんですけど。江南とか発なんでしょうか)
‥という感じに展開した結果、西洋人を「鬼子」と呼ぶのは、確かにありそうです。
そしてやはりここでも「鬼」を「死者の魂。形をもたない」としていないのは
『聊斎志異』と同じですね。
[Table of Contents]侮辱から敵意へ
んで中国は中華思想だから、無論、「鬼子」には
侮辱的な意味は含まれている、と。そして魯迅は、外国かぶれの中国人を
「仮鬼子」と呼んだがこれは「鬼子のフリした人」という意味だから、
それまでの文脈とはズレてない、と。「鬼子」たちは やがて中国を
制圧する欲望をむき出しにしてきたので、「鬼子」は単なる蔑称から
強い敵意を意味する言葉に変わっていった。
やがて日本が国力を高め、西洋にかわって中国の支配を強めた。
中国側から見ると、それまでの「鬼子」が
いなくなったと思ったら、かわりにやって来た外敵 --- 「今度は日本が鬼子かよ!」
というのが「日本鬼子」として定着。現在に至る‥。
こんなストーリーだったらアリですかね。
ほとんど私の思いつきですけど。
[Table of Contents]他方では形式化?
19世紀末の清国(日清戦争直前)の満州における「鬼子」について、
現地滞在していた あるイギリス人がこんな感じに書いているのを見つけました:
ここでも書かれてますけど、満州では外国人に対する敵意が例外的に少なかったから、
だから「鬼子」という言葉は使っているものの、それは単に外人に対する「さん」程度の
ものにしか感じなかったよ、という感じですね。「鬼子」のような強烈な侮辱語でさえも、
使ってるうちに馴染んできて、侮辱感がなくなっていく‥。そういうものなのでしょうか。
[Table of Contents]「きし」から「おにこ ちゃん」へ
ところで。どうでもいいことですけど、「日本鬼子」について調べたらなんと、
ネットの有志たちが
「ひのもと おにこ」という萌えキャラ [URL]を作ってたりするんですね。
‥‥面白い! こりゃ私も脱帽です (^o^)