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中国に《玉歴鈔伝》という書物があるみたいです(正直このへんあまり把握してないです‥)。 これは清末民国初に流行(?)した 「勧善書」、つまり勧善懲悪的書物らしいんですけど、いろいろなバージョンがあり、 その《玉歴鈔伝》系諸文献の一つとして位置付けられるのが《玉歴宝鈔》。 これは
‥と、そんな感じのものらしいです。 ただ、ここでちょっと気になるのは本書が「清末民国初に流行」ということ。 清は1912年滅亡なので、清末民国初となると19世紀後半から20世紀初に流行ということに なりますよね。当時の中国はいろいろと大混乱の時期で、 昔ながらの価値観が根本から崩れてきており、それゆえ昔ながらの勧善懲悪を 強調する本書のようなものが求められていた? ‥と、そんな感じみたいですけど。
[Table of Contents]本ページ的には、この《玉歴宝鈔》の中身が日本における「十王」と何か関係してるのか、 日本に何か影響を与えたのか、といった点が気になるところではありますけど。どうなんですかねー。 (伝説で)この本が書かれたとされる11世紀といえばそろそろ日本の平安時代末期、 894年の「白紙に戻された遣唐使」、つまり遣唐使の廃止から100年以上経過していて、 その時期の遼、つまり 中国の北のほうで書かれた書物ということならば、なんかちょっと日本とは遠い気がしますよね。 どうなんでしょう??
(ちなみに10世紀中国の杭州あたりに実在したとされる 布袋様について、 中国では「布袋=弥勒」説が定着するんですけど、そんな説は日本(沖縄以外)にはまったく 入ってこなかったですよね。《玉歴宝鈔》はそれより100年くらい後の書物とされてますから、 んー。厳しい感じはしますけどね‥)
[Table of Contents]んで《玉歴鈔伝》で検索しても情報がほとんど出てこないのでアレなんですけど。 その中でちょっとユニークとされる《玉歴宝鈔》については、中国系のサイトでは いくつか情報がないことはなくて
などのサイトがヒットします。ザッと見てすぐ気づく点として、 一部の十王と地獄とが関連付けされてますね。 1:等活地獄が2:楚江王と、2:黒縄地獄が3:宋帝王と、3:衆合地獄が4:五官王と、 4:叫喚地獄が5:閻魔王と、5:大叫喚地獄が6:卞城王と、6:焦熱地獄が7:泰山王と、 7:大焦熱地獄が8:都市王と、8:阿鼻地獄が9:平等王と、それぞれ結びついてます。 そして逆に日本でお馴染みの「死出の山」「三途川」「奪衣婆」などが見当たらない‥。 まあ確かに、各地獄と無理無理にでも結びつけとかないと「この十王って、いったい何??」という 質問に答えられないよなー、とは思うんですけど。でも それぞれの王と それぞれの地獄との具体的な関連付けって、日本ではあまり見かけない気が しますから、やはり中国での独自展開という感じなんですかね。
ちなみに。たまたま見つけたんですけど、以下:
こんなページがありました。 2003年、台湾の江逸子さんが描いた「地獄変相図」のネタ元がこの《玉歴宝鈔》のようです。(関連情報、どこかに書いたなあ‥と思って探したら、 [ 21世紀的地獄絵図(台湾(中国),21C) :: 餓鬼について ]でした。)
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