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ちなみに、インドではなく中国の話になるのですが。
中国(台湾)で作成された地獄変相図を見ると、その中に「餓鬼地獄」と呼ぶしかなさそうな 部分があることに気付きます。中国語のサイトでたまたま見つけた 「因果図鑑」[Link]とか 「因果図鑑---地獄変相図(2)」 [Link]というページ。このページを見てみると、 十王の 第二殿・楚江王(2:初江王)の管轄下に 剣葉地獄、糞尿地獄などとともに「餓鬼地獄」なるものが描かれています。
日本の地獄絵では、2:初江王の元には賽河原があったりします [see: 賽河原と地獄絵]が、 この絵には賽河原はないです。それと2:初江王管轄下の諸地獄の中では唯一ここだけ、 観音さまのお姿が描かれてますね。観音さまが、まるで金魚にエサを与えるのと同じような 感じで、なにか食物を施してくださってます。日本では「地獄に仏」といえばお地蔵さまに 決まってますから、なんかちょっと違和感がないこともないですね(絵図の解説によれば 「大慈大悲観世音か地蔵王菩薩」と書かれてますから、両者の当番制になってるんでしょうか)。 でもそれよりも気になってしまうのは、ここは2:初江王の管轄ということで、 日本的感覚であれば 2:初江王の本地(正体)であるはずの釈迦牟尼仏は何もしてくれないの?? ということなんですけど。まあ十王と十仏(十三仏)の対応付けは日本独自のもののはずですから、 そのへんは仕方ないか‥。閑話休題。
餓鬼地獄なるものが存在するという話になりますと、 餓鬼は餓鬼界の住人なのか地獄界の住人なのか、どっち? ということも無論 気になるところですけど。本ページ的には、やっぱ、その姿が気になりますね。 列挙されてる他の地獄は、原形をとどめないほどグチャグチャにされてる人もいますが、それでも皆 普通に人間として描かれているのに対し、やはり餓鬼だけ よく見るあの怪物ぽい描写になっています。 しかし「餓鬼地獄」か‥。餓鬼って、本当に地獄よりマシなんですかね? (苦笑) (あるいは「餓鬼はちょっとマシだよ」と示すために餓鬼地獄だけには 観音さまを描いたとか?)
ところでこの中国の地獄変相、同じ内容のものがあちこちで紹介されているのが
気になったので調査してみたところ。かなり最近の作品みたいですね。
江逸子という台湾在住の画家の方が2002〜2003年に作成した絵画で、
図に添えられた説明文も2004年に江さんが書いたようです [ 江逸子 | 臻印藝術 ] 。
むちゃくちゃ最近じゃん‥。それと2004年春に京都で展覧会もやったみたいですね。がーん。
展覧会終了の10年後にそれ知ってもなあ‥ (-_-)
それと2005年には『因果図鑑』という題で出版もされてるんですね。
値段次第ですけど、ちょっと欲しいかも‥
ちなみに、この地獄変相の元ネタとおぼしいのが《玉歴宝鈔》という文献らしいです。 ( [関連] [付] 玉歴宝鈔(宋代,11c?) )
[Table of Contents]ちなみに、この中国の「餓鬼地獄」なるものは 蒲松齢『聊斎志異』(17c;清初)(和訳)にも出てきています。 どんな感じかといえば‥
まあ、当初はまったく別なところで別なイメージで語られていたものをムリムリと 一つにまとめて「五道」あるいは「六道」として体系化したもんなんだろうと 考えれば、そんなもんか、という気もしないこともないですけどね。
[Table of Contents]「餓鬼地獄」という表現、いちおう日本にもあったみたいです。というか、 たまたま見つけたのでメモっておきます。
萩原朔太郎、辞世の句 (1942年、満55歳で肺炎にて没):
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