[前] 盆はやはり容器くさい |
(前ページからの、つづき) そしてさらに。「盆は盆器」と考えられた理由が、 「盂蘭盆」という単語の最後の文字が「盆」だから、というものであるなら。 つまり「盂蘭盆」という言葉は、インド僧たちも、中国土着の人たちも、 その単語の起源を知らない。そんなどこか遠くから来た、 摩訶不思議な言葉だということになるわけです。 (さらに岩本1979は、北方遊牧民、チベット‥などの可能性を消していき、さらに 7月15日という日付から、盂蘭盆と夏の収穫、もっと言うと「麦・畑作の収穫祭」との関連を 想定していきます。また本来は自恣とも中元とも関係なかったはずの「先祖祭」を これら行事と結びつけ得るのは誰か、についての考察を行っています。 このへん、ものすごく念入りに議論してます。pp.232--)
そんなこんなで浮かび上がってくるのがソグド人と呼ばれる人たちです。 サマルカンド近辺に起源をもつイラン系ペルシア系の人たちで、最も古く文化交流史に登場し、 「早くから商人として中国に進出していた」(p.238) 「かれらは西暦1世紀ごろには中国に進出しており、5世紀ごろには 現在の甘粛省凉州にソグド人の植民地のあったことが知られている」(p.239)、 「5世紀には現在の甘粛省凉州に相当に多くのソグド人の居留民のいたことが 中国の史書に記されている」(p.323)、 そんな人たちです。 ちなみに五世紀というのは中国南北朝・北魏の時期で、 北魏が華北統一した時期(統一は442年)に当たります。 北魏というと、中国で仏教文化が大きく花開いた時代ですね。
ちなみに唐代・玄宗皇帝に使えて叛乱をおこした安禄山(8世紀;盛唐)は突厥とソグドの混血
ですけど‥
そう言われてもピンと来ないですね(^_^;
西遊妖猿伝 西域篇2巻【電子書籍】[ 諸星大二郎 ] |
他に何か「ソグド人」でピンと来そうなのは‥と探してみたら諸星大二郎『西遊妖猿伝 西域篇』 というマンガが出てきましたので、それを紹介しておきたいと思います。 このマンガ、完全なフィクションかつ冒険活劇ではありますけど、 7世紀前半(初唐)の西域のオアシス都市を舞台にして トルコ系の突厥、楼蘭の末裔の鄯善系、そしてソグド人といった人たちが たくさん登場していて「ああ、こういう雰囲気だったのかな」と何となく感じられて 良かったです。作品としても面白いと思うので、オススメです。 完全なフィクションですけどね。
[Table of Contents]そしていよいよ岩本1979の仮説が示されます。
^^
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