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概説カーマスートラ

たぶん1995年頃に、ちょっと書きかけて止めてしまった「概説カーマスートラ」なる文書。 それを、ハードディスクを整理してたら発掘しました。せっかくなので中身にはほとんど手をつけず、 タグなどをちょっと調整した程度で公開してみます。 (なので「準備中」となっていても、今後の作業再開は、たぶん ないです‥)

別途「カーマスートラ」というページもありますので、 もっと詳しく見てみたい‥という方はそちらをどうぞ。


[前] 1-2総説篇/三勢力を得ること

1-3総説篇/性愛の学及びそれに関係せる学芸

[Table of Contents]

男子は性愛の学およひ性愛の学と関係している学芸を修める必要がある。 また女人は青春期までにこれを学ぶべきであり、既婚のものは夫の同意が 必要である。


[Table of Contents]

異論

「女人は経典を学ぶべきではないと聖典で述べられているゆえ、 女人に学芸を授けてはいけない」

ヴァーツヤーヤナの反論。--- カーマスートラの中には女人が従うべき内容についても書かれているので、 女人もこれらの学を(間接的に)学ぶべきである。 なぜなら、 自分自身で法典を学ばなくても法典の知識を得ている、といった例は よく見られるからだ。すなわち、 法典を直接に学習する者は少なくても、 その原理は万民のためのもので、 いろいろな方法で伝播されていくものであ(り、 およそ知識というものはそのようなものであ)るから。

 これゆえ、 女人も性愛の学について、信頼に足るべき人から学ぶべきである。 そして 反復によってマスターされる 64 のヨーガを、 少女はひとりで繰り返し練習しなければならない。

少女にとっての信頼に足るべき人とは以下のような者たちである。

  1. 男との経験がある乳母の娘
  2. 気のおけない友人(男との経験がある)
  3. 同年代の母の娘
  4. 信頼されている年上の婢女
  5. 成功の経験がある女出家者

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64 の学芸

  1. 歌謡
  2. 奏楽
  3. 舞踊
  4. 絵画
  5. 木の葉などを折って額上の記標にすること
  6. 祭のため色をつけた米や花などを種々に並べること
  7. 床などを花で飾ること
  8. 歯・身体・衣服を染色すること
  9. 家の中・床の上などに宝石を彫めること
  10. 臥床を整えること
  11. 水を使って太鼓のような音を出して演奏すること
  12. 水を掬(すく)って音を出すこと
  13. 薬物調合・呪術
  14. 花環をつくること
  15. シェーカラカの形の花環をつくって頭髪をかざること
  16. 衣裳をつけ、飾りたてること
  17. 象牙貝類で耳飾りなどを作成すること
  18. 香料の製造
  19. 化粧品を作ること
  20. 幻術
  21. 薬物による体力増進
  22. 手が器用なこと
  23. 料理
  24. 飲み物の調理
  25. 裁縫
  26. あやつり人形
  27. ヴィーナーなどの弾奏
  28. なぞなぞ
  29. 頌の連唱
  30. 難しい頌を唱えること
  31. 叙事詩の朗唱
  32. 戯曲物語の知識
  33. 半連詩作
  34. 籐などで編む家具の製作
  35. 木片などで男根の模造品を作成すること
  36. 木工
  37. 土工
  38. 宝石鑑定
  39. 錬金術
  40. 水晶・宝石の発見
  41. 薬草の栽培
  42. 闘鶏
  43. オウムの調教
  44. 洗浴
  45. 文字の判読
  46. 言語の読解
  47. 諸国の言語の知識
  48. 前兆を知ること
  49. 花で車・乗り物などをつくる
  50. 機械・器具の作成
  51. 記憶術
  52. 詩歌朗吟競技
  53. 有名な詩歌の一部を欠落させたものに対する、穴埋め
  54. 詩歌作法
  55. 辞典学の知識
  56. 修辞法
  57. 態・人称を違えた文章の解読
  58. 布をつかう遊び
  59. バクチ
  60. サイコロあそび
  61. 人形あそび
  62. 日常の作法
  63. 敵を負かすための知識
  64. 身体の発育を計る知識
これ以外にもパーンチャーラが教える 64 の技芸がある。これらの技芸 については性交篇で述べる。

 品性・美貌・徳性を備える娼婦は、この学芸をマスターすることにより ガニカー(高貴な娼婦)となって人々の尊敬を受けることなろう。 この学芸を学ぶことによって利益を得るのは娼婦だけではなく、 性別身分を問わずすべての人にとって有益である。

[次] 3-1少女親近篇/少女の選択と親族の決定