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概説カーマスートラ

たぶん1995年頃に、ちょっと書きかけて止めてしまった「概説カーマスートラ」なる文書。 それを、ハードディスクを整理してたら発掘しました。せっかくなので中身にはほとんど手をつけず、 タグなどをちょっと調整した程度で公開してみます。 (なので「準備中」となっていても、今後の作業再開は、たぶん ないです‥)

別途「カーマスートラ」というページもありますので、 もっと詳しく見てみたい‥という方はそちらをどうぞ。


[前] 1-1総説篇/全巻の総説

1-2総説篇/三勢力を得ること

人間の寿命を仮に百歳と仮定し、これを三分割した前期をアルタと知識修得に、 中期をカーマに、後期をダルマとモークシャ(解脱)に充てるのがよい。 ただし人間の寿命は不定なので、適度に調節する必要がある。 またダルマ・アルタ・カーマでは前者ほど重要である。

[Table of Contents]

異論1

「ダルマは通常の感覚によっては知ることができないゆえ法典から学ぶ 必要がある。またアルタについても同様に、蓄財の手段について教わる 必要があるだろう。しかしカーマは動物の本能であるゆえ何を教わる必要が あるというのか」

-- それは間違っている。 人間には社会の風習・法律・恐怖・羞恥などの制約があるため、 情事を成し遂げるためには知的な振る舞いをおこなう必要がある。

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異論2

「ダルマなど、何の必要があろうか。ダルマによって得られる利益は未来、 あるいは死後に得られるといわれているが、そんなものは本当にあるのか。 あったとしても、そんな先のことより現在のことのほうが重要なはずだ」

-- そうではない。

  • 経典は絶対の真理を啓示したものであり、疑いをはさむ余地がない。
  • 呪文など現実的な効果が得られるものもダルマの領域に含まれている。
  • 現在の快楽を未来の幸福のために捨てねばならぬことについては、 種を播いて未来の収穫が得られる実例からも明らかである。
(これゆえダルマを軽視することはできない。)

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異論3

「アルタに関する成否は時節(運命)に左右されることが多い」

-- そうではない。蓄財は人の努力によるものであり、財を保つ方法についての 知識による影響は重大で、運命によるものに匹敵する。 また「時節に左右される」といっても、何もせぬ者に財が集まることはなく、 努力した者の中から成功者は出るのだ。 (これゆえアルタを軽視することはできない。)

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異論4

「カーマのせいでダルマ・アルタをダメにしてしまうことは多い。つまり、 カーマは多くの悪の根本となりえるものであり、正しき人はこれを避ける べきだ」

-- 性欲は食欲と同じく身体にとっては必要なものである。 またカーマはダルマ・アルタと矛盾するものではない。 よってカーマによってもたらされる悪い結果を避ける手段を知り、 対策を講じることが必要となる。 (これゆえカーマを軽視することはできない。)

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まとめ

ダルマ・アルタ・カーマという 3 勢力を求めることで、 人は現在未来における幸福を実現していくべきだ。

[次] 1-3総説篇/性愛の学及びそれに関係せる学芸