[Most contents are written in Japanese Language] [Always under construction]

[チラシの裏]

ピンクのカーテン (1982,にっかつ)

題名 ピンクのカーテン
作成 にっかつ
監督 上垣保朗
脚本 高田純
出演 美保純, 萩尾なおみ, 阿部雅彦
公開 1982.7.23



底からフツフツと湧きあがってくる何か。 伊代ちゃんのポスター。ピンク色のカーテン:-) 電車の音が聞こえる六畳一間の安アパート。街のザワメキ。 街の雰囲気。なけなしの理性。というより単に臆病なだけか。 自分は何かなんだという尊大すぎる自負心。でもそれが単なる 願望にしか過ぎないことにもウスウス気付いている。見つめたくない 現実。足元は見られたくない。でもバレなきゃいいや、という言い訳。 とりあえず装ってみる、やさしさ。なんでアイツが、というムカツキ。 ‥次から次へと甦ってくる記憶。

‥うーむ。こういう時期のこういう作品というのは、それなりに 同じ時代を生きてきた自分(もっと後の時代にはなるんですが‥)にとっては、 自分の過去と重なるような、重ならないような、そんな感じになっちゃうから。 だから、なかなか醒めた目で見ることができない.. (-_-;
さらにそれが「ピンクのカーテン」という、それなりに思い入れが あるものだと、なおさら . . . (といいながら、実のところ リアルタイムでは見れてません。10年近く後になってからですね、見たのは。)


[Table of Contents]

あらすじ

ひとり暮らしをしていた奥山悟(スーパー勤務:映画版では下板橋駅が 最寄駅みたいだ)のところに、ある日、妹の野理子がやってきて一言:

「お兄ィちゃん、わたしまたここに住んでいい?」
かくして、ふたりの同居生活がはじまります。この妹が魅力的、かつ 「妹は 僕に まったく警戒心を持っていません/子供の頃の 兄と妹の 感覚のまま なんです//妹にとって 僕は 相変わらず 子供の頃と同じ ただのお兄ィちゃん です//ですから 僕の前で 裸に なることなんて 平気です/妹も二〇歳で 僕も二十四歳ですから 問題はあります// でも 妹には そんなこと まったく 無関係です (原作版 p.1:121)」 てなものですから、お兄ちゃんは毎ドギマギして暮らすことになります。 でもまあ、その程度ならまだよかったのですが。

 野理子にはつきあっている男性がいます。三田村惣一郎 (映画では美容院のオーナー;原作では人気シナリオライター。ちなみに 原作では《ただ 空しくなる ばかりです/それでも 女を抱かなければ いられないの ですね/なぜでしょう 本当に 女も セックスも 嫌いなのです よ》(原作版 p.6:158) と、なかなか深い悩みを抱えていた のですが、映画では《こうしていると思い出すなあ。君とのカンペキな セックスをさ。あれからも、いろんな女と寝たが、ついに君のセックスに およぶ女はいなかったな》(「ピンクのカーテン2」より)と単なる 愛欲スケベオヤジになってしまっているのが、なかなか楽しいです): この「先生」と呼ばれる男性との極限をこえた?? すごい性技のまえに、 彼女は完全に「セックスのドレイ」となっているのでした。

 かくて三田村とのはげしい関係のため野理子は女性フェロモンを 全身からオーラのように発散させつつ、しかし、 それでいて自分に対しては子供の頃とまったく同じ、あどけない妹の ままのアッケラカンとした態度で接してくるわけですから、 お兄ちゃんは単にドギマギするだけではなく、モンモンかつムラムラ しながら毎日暮らすことになってしまうのでした。これが「ピンクの カーテン」の基本構造になっています。

 さて悟の友人に須藤(山口出身)という「オレは女とヤルためだけに 生きてるんだ〜」といった感じの男が出てきます。 こいつの彼女が「ブサイクだけど感度はバッチリ」という 山田直子という娘なのですが、彼女が妊娠 --> 堕胎したのを契機に ふたりの仲がうまくいかなくなり、須藤が悟に直子を譲る、という カタチでついに破局。かくて悟は直子と関係を持つことになりました。 しかし直子は「私、これから堕ちていくの」とキャバレー勤めを はじめ「私とやりたいならお店に来てよね」と言い出す始末。 このへん直子チャンとしては けっこう強がってる感じですが、 そのため悟はその後イソイソと店に通うようになります。 をいをい‥ (-_-;

 ただし悟にとって彼女は「誰かのかわり」にすぎず、ゆえに決して そのときに直子の顔を見ていない、という事象も報告されています。 (誰の代わり? ‥決まってますよね。妹の野理子ですよね)

 ということで、悟と直子の関係を簡単に整理しておきましょう。

  • やっぱり直子ちゃんは強がってはいるものの「奥山クン」に 対してはある種の特別な感情を持っているようです。曰 「奥山君として 体が洗われたみたいよ//奥山君て汚れてないもんね/ 私しか知らないんだもんね」(原作版 p.1:225)
    たとえカラダが目当てでも こんな私を必要としてくれる、 純粋なヒト。‥こんなイメージで悟を捉えているような感じです。 (しかし原作版では、のちにこの思いのせいで、逆に悟への軽蔑のココロが 深まってくるんですよね)
  • 悟は直子のことがそんなに「すき」ではないんだな。言葉を しゃべるダッチワイフ的なイメージしか持っていない。なぜ?? ‥ブスだから (^_^; 友達が捨てた女だから (^_^; 暗いから (^_^; ‥うーむ。かわいそうな直子ちゃん‥
ちなみに、この直子が持っている「暗さ」にもそれなりに原因はあるわけで。 須藤との子供を堕胎したのもそうですけど、 「田舎者のブス」で「親父は酒ばかりくらって働きもしないで」 「母親は男つくって逃げちゃって」「実の兄貴に強姦されて」 「あげくに兄貴は人を殺して刑務所入り」(原作版 14:16-17) ‥このような過去を背負って 「一番の幸せは生まれてこないことよ。わたしたち一族にはろくな血が 流れてないんだからさ」(原作版 6:26) こう考えているようですから、まあ明るくなるのは難しいかもしれません。

 さて、そんなある日。直子が熱を出します。悟のもとに電話が。「お願い。 ほかに 頼める人 いないの」(原作版 p.1:272) 原作版だとこれだけですが、 映画版では、ちょうど野理子が三田村にフラれた日だったりしたもんです から、さあタイヘン:-) 目の前には泣きじゃくる野理子、電話の向こうには 熱を出して自分をじっと待っている直子。さあさあ‥。

 なんと、悟は直子を選んだのです!! まず熱のためにモウロウとしている 直子を軽く一回強姦してから:-) 親身な看病をします。直子は悟が来てくれた ことが嬉しくて嬉しくて、つい泣き出してしまうのですが、それに対して 悟がどう感じたかが原作と映画では違っているのが面白いですね。

  • [原作] 「やだなあ/ああいう女は 暗くて」 (原作版 p.1:286) (<-> 野理子について「おまえは いい女だよなあ// いつも明るくって/セクシーで」(原作版 p.2:96) ‥ しかし、その後も差入れを持って直子のところに通っていって います。これがよくわかんないなあ‥。て単に「出し」にいった だけなんだろうなあ。後の展開とつなげて考えると)
  • [映画] なんかグッと来るものがあったようで「オレのカノジョに する」と決意したみたいです。
で、ここから原作と映画が分かれます(というより、映画はそろそろ 終わらせなきゃいけないんですね。だから直子の看病に向かうところで グッと盛り上げようとして三田村にフラれるエピソードが追加されている わけですな)。ここでは当然、映画版を追っていきます。

 直子をカノジョにしようと決めた悟は、さっそく野理子に 直子のことを 紹介することにします。ふたり仲良く待ち合わせて、直子のところに‥ 行ったらそこは修羅場 (^_^;

 なんと殺人で刑務所に服役していた直子の兄貴 (山田喜久男さん。 原作版では p.3:90 で初登場) が出所して、その足で 直子のところにやって来て直子を強姦していたのです。がーん。 悟、野理子、そして直子まで顔面蒼白。「あ、あのっ、これっ」 「あの、お見舞を持ってきただけだから」直子の部屋を急いで後にする ふたり。「お兄ィちゃん、カノジョにするって、あのヒトじゃなかったの?」 「ちがわい。誰が、あんなブス!」「‥お兄ィちゃん、お兄ィちゃんは、 あんなことしないよね」「‥」「しないよね!」「‥あ、ああ」

 かくて悟にとってモンモンとする日常はまだ続くのでした。


[Table of Contents]

ビデオ/DVD情報

[2012/9 現在]
  • 「ぽすれん」だと100円で宅配レンタルできるみたいです [URL]。 (ただし別途送料300円が‥^^;)(支払いはクレカ/Edyなど)
  • DMM のDVD単品レンタルだと480円、動画配信だと500円 [URL] (支払いはクレカ/Bitcash/EdyもOKか)。 動画配信の場合、一月の間で6本以上見るときは ピンク映画チャンネル[URL] という選択肢もあります。月3000円です。DMMにクレカ情報を教えるのが不安という人は、 [@nifty決済] [Biglobe決済]という手もあります。
  • DVD購入の場合、amazon だと2400円[URL]。 DMM通販が2646円なのでamazonのがちょっと安いですね。
  • (2015追記) Youtube でも有料配信してるみたいですね [Youtube]。300円から。

[Table of Contents]

[ふろく] 三田村語録

この作品の序盤、野理子がメロメロになっている三田村先生。 私、この三田村先生が大好きなんですよ(原作版のほう)。なので 私が印象に残っている三田村語録をいくつか紹介させてください。

[Table of Contents]

映画版: 三田村語録:-)

  1. 野理子「先生... あたし... やっぱり、戻ってきました」
    三田村「そう。それでまたぼくと*セックス*したいの?!」
    野理子「あん... せんせい..(身体をくねらす)」
  2. 三田村「ピンク色がツヤツヤ光ってる」
    野理子「本当??」
    三田村「ああ。ヌルヌルに濡れてる。この中に もうすぐボクのものが 入っていくんだ」
    野理子「先生... もうダメ。きて..」
    三田村「ほうらぁ、もっとたくさん出してごらん。シーツが グショグショになるまで出してごらん」
‥ ひゃっほー!! \(^o^)/ ネチッこいオッサンのイヤラシサ大爆発!!

[Table of Contents]

原作版:三田村語録

  1. (野理子による伝聞)
    いい女とつきあわなきゃ駄目よ。
    二流の女を相手にしていると人間が二流になるんだって。
    安っぽいとこに住むと人間が安っぽくなるし、
    安酒を呑んでると人間が安っぽくなるんだって。...
    つまんない女と安酒でほとんどの若者は駄目になっちゃうんだって(2:298-300)
  2. 人はね、日常どんな相手とどんな会話をしていくかである程度決まる。
    海好きの男と暮らせば海のことを知るようにね。(5:155)
これでさらに上述の《ただ 空しくなる ばかりです / それでも 女を抱かな ければいられないの ですね / なぜでしょう 本当に 女も セックスも 嫌いなのです よ》(原作版 p.6:158) も加えるとバッチリですね。 映画版とのこの違いはなんなんでしょう。 まあ映画版のほうもアレはアレで楽しいんですけどね:-)

[Table of Contents]

[ふろく] 原作版(文庫版):オビのアオリ文句一覧

  1. 読み始めたら止まらない。卓越した筆致で描く鬼才渾身の青春群像劇。 「お兄ィちゃん わたしまた ここに住んでいい!?」(1:9 noriko)
  2. 読み始めたら止まらない。兄妹愛をモチーフに演出冴えわたる衝撃作。 「お兄ィちゃんでも男だろうが!!」(1:19 satoru)
  3. 読み始めたら止まらない。性をテーマに研ぎ澄まされた感性で描く 俊英意欲作。 「だけど哀しいよね... 人間て...」(4:169 naoko)(4:211 noriko)
  4. 読み始めたら止まらない。越えてはならぬ川を越えた本格群像ロマン。 「ただセックスの奴隷になってしまっただけです。」(4:240 mitamura)
  5. 読み始めたら止まらない。現代の愛と性にメスを入れた喝采すべき秀作。 「いつも誰かを愛したいと思ってた!!」(5:74 naoko)
  6. 読み始めたら止まらない。漂流する若者を描いて成年コミックの 金字塔となった傑作。 「お兄ィちゃんを うけ入れてくれ...」(7:9 satoru)
  7. 読み始めたら止まらない。無常観と禁断愛を暗示する。偉才不朽の名作。 「わたしを性器として みてたなんて!!」(7:83 noriko)
  8. 読み始めたら止まらない。日本マンガ界の伝説となった気鋭のライフワーク。 「わたしを女として見るなら抱かないで!!」(9:83 noriko)
  9. 読み始めたら止まらない。佳境に入って物語の展開にますます目が離せない。 「わたし大変な病気にかかったみたいだよ」(9:286 noriko)
  10. 読み始めたら止まらない。愛とエロスに揺れ、自立する若者を描く クライマックス。 「先生のおかげで野理子逞しくなったよ!!」(10:284 noriko)
  11. 読み始めたら止まらない。人間生来の哀しみを謳う問題作。 「キミの虜になってしまったよ!!」(11:215 osanai)
  12. 読み始めたら止まらない。青春の混沌を描き、性愛の極限に迫るヒット作。 「俺はな体だけだよ それだけでいいんだよ...」(12:162 kikuo)
  13. 読み始めたら止まらない。性に翻弄される若者達を巧みに描いた雄渾の大作。 「俺の体から離れられないすよ...」(13:61 kikuo)
  14. 読み始めたら止まらない。性のタブーに挑戦した偉才のエポック・ メイキング完結編。 「なんのために生まれてきたのかねえ!?」(14:271 kikuo)

[Table of Contents]

参考文献

  • 「原作版」: ジョージ秋山,「ピンクのカーテン」(全14巻), 竹書房文庫,1996.(連載は 1980.11-1984.11)

関連(?)情報

[Total pages] [Prev][Next]