非仏教徒としての「外道」
検索結果のうち 1,
4-7 は
非仏教に対する呼称として「外道」を用いている。
[Table of Contents]亦未曾念外道典籍如是之人
1
0262_,09,0016b03(00):<ver>亦未曾念外道典籍如是之人
この部分は3章の最後のとこ。対応するサンスクリット文では
「ローカーヤタ派(これは「六師外道」のひとつ)や他の諸派」
となっている。
anye.su suutre.su na kadaaci cintaa lokaayatair-anyatarai^s-ca ^saastrai.h /
baalaana etaad.r^sa bhonti gocaraas-taa.ms-tva.m vivarjitva prakaa^sayer-idam //148//
(KN p.99-3)
[岩本訳]
他のもろもろの経典のことを、いつ、いかなる時も顧慮することなく、
愚かな者たちに相応しいローカーヤタ派や他の諸派の経論にかかわり合うことなく、
それらを避けて、汝はこの経典を説き明かせ
ん?! どうでもいいことだけど、漢訳だと「外道典籍に目もくれない『如是之人』に
説法せよ」と読めるけど、岩本訳だと「説法者は他派に目もくれず説法せよ」と
読める。「目もくれない」対象が違っていて、
文脈からすると漢訳のほうがよさそうにも思えるんだけど。
でもサンスクリット文は ``tāṃs-tvaṃ vivarjitva'' とあるので、
サンスクリットは岩本訳のとおり。‥まあ、どっちにしても意味的には
「まだ他派に染まってない人らを口説け」という点では同じか。
[Table of Contents]不親近諸外道梵志尼乾子等。及造世俗文筆讃詠外書
4
0262_,09,0037a23(09):不親近諸
外道梵志尼
子等。及造世俗文筆讃詠外書。
13章(漢訳は14章)。
na anyatiirthyaa.m^s-caraka-parivraajaka-aajiivaka-nirgranthaan-na
kaavya-^saastra-prasutaan-sattvaan-sa.msevate na bhajate na paryupaaste /
(KN p.276-2)
[岩本訳]
また、異教徒や苦行者・托鉢者・アージーヴィカ教徒・ニルグランタ教徒たち、
詩書や論書に専念する者たちにも、親しみ近付いてはならない。
「チャラカ、遊行者、アージーヴァカ教徒、ニルグランタ教徒という異教徒たち」(松涛訳)
のほうが自然かもしれない。なお松涛先生はチャラカをミーマーンサーと見ている。
へー。
‥とにかく。ここでの「外道」は「異教徒たち」と解釈して間違いなさそう。
ちなみにここではローカーヤタ派は「路伽耶陀」と音写されている。
[Table of Contents]兇險戲者及旃陀羅外道梵志
5
0262_,09,0037b22(00):<ver>兇險戲者及旃陀羅外道梵志
これは 4 を散文で語った後に、韻文で同じような
ことを繰り返して語ってる部分。
ye ca-api raajapuru.saa.h kuryaat-tehi na sa.mstavam /
caa.n.daala-mu.s.tikai.h ^sau.n.dais-tiirthikai^s-ca-api sarva^sa.h //3//
(KN p.279-1)
[岩本訳]
チャンダーラなどの賎民たちや、半陰陽の者たちや、信仰の異なる輩などとも、
(すべて付き合ってはならぬ
‥‥「外道梵志」をチャンダーラ・半陰陽と並べてしまう
というのは、何なんでしょうね? (^_^;
ちなみに 4 では、「王様に近付くな。外道に近付くな。
賎民に近付くな。小乗に近付くな。女に近付くな」といった組み立てになってて、
外道と賎民がセットにされてるという感じではないけど。
[Table of Contents]母告子言。汝父信受外道深著婆羅門法
6
0262_,09,0059c18(02):母告子言。汝父信受外道深著婆羅門法。
25章(漢訳27章)。
この部分に対応するサンスクリット文を見てみると、「外道」に相当する単語が
なかったりする。でもまあ文脈から「婆羅門(のおしえ)」を指してるということは
わかる。
e.sa khalu kulaputrau yuvayo.h pitaa raajaa ^subhavyuuho braahma.ne.sv abhiprasannas
(KN p.459-2)
[岩本訳]
若き王子たちよ、父上のシュバ=ヴューハ王は婆羅門たちに好意を持っておられます
そこで神変を示して父親を仏教徒にしてしまうといふ‥ (^_^;
[Table of Contents]不好外道經書手筆。亦復不喜親近其人
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0262_,09,0062a04(02):不好外道經書手筆。亦復不喜親近其人。
これに対応するサンスクリット文は以下。
na ca te.saa.m lokaayate rucir-bhavi.syati
(KN p.480-8)
[岩本訳]
そして、かれらはローカーヤタ派の教義を悦ばず
この用例は 1 と同じですね。
ローカーヤタ派(これは「六師外道」のひとつ)
の訳語として「外道」を使っている。文脈としては「法華の教えを受持する者は‥
ローカーヤタ派の教義とかを好まない」となっている。