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仏説地蔵菩薩発心因縁十王経

成都府大聖慈恩寺沙門蔵川述『仏説地蔵菩薩発心因縁十王経』
(発心因縁十王経、地蔵十王経)の大雑把訳です。

底本は 石田瑞麿(1986)『民衆経典』筑摩書房(仏教経典選12). です。
ページ番号は、この石田1986における対応箇所です。
石田1986 は『大日本続蔵経』(2-乙23-4)を用いているようです[CBETA][NIJL]


 

[もくじ] 十人の王たち

このページは「地蔵十王経」の大雑把訳です。「重すぎ。もっと軽いのを」という人は 十王信仰などについての概略を [こちら] に用意してますので、 そちらをどうぞ。

 王の名前、あるいは本地仏の名前をクリックしてください。テキストの該当部分にジャンプします。

本地仏
01 秦広王 不動明王 亡くなって 一七日の 中陰に 重ねた業数 塵山のよう
02 初江王 釈迦如来 二七日 亡者はついに 奈河渡る とにかく大勢 河渡りゆく
03 宋帝王 文殊菩薩 亡き人は 三七日に 思いしる 冥途の長さ その険しさを
04 五官王 普賢菩薩 業罪の 軽重決めるは 無情にも 自分の昔の 所業それだけ
05 閻魔王 地蔵菩薩 無理矢理と 業写す鏡 見せられて やっと気がつく 生前したこと
06 変成王 弥勒菩薩 亡者たち 冥途に入って 六七日 恐怖がせまり 愚を諭される
07 太山王 薬師如来 善行の 判決まだまだ 未確定 亡者にもたらす 追善あるなら
08 平等王 観世音菩薩 亡き人は 百日たっても 苦は止まぬ 手枷足枷 ムチで血だらけ
09 都市王 阿閦如来 一年が 過ぎるこの日も 辛苦たり 男女もともに 福業積めよ
10 五道転輪王 阿弥陀仏 過と罪が 車輪のごとくに 回転し 我らは向かう 三途の地獄




 本ページで取り上げている「発心因縁十王経」は、日本で成立し日本だけで流布した「十王経」です。 これとは別に、中国朝鮮で流布した「仏説預修十王生七経(預修十王経)」に興味がある方は、 [ こちらに大雑把訳があります ]

 本ページでは とりあえず、本経と預修十王経の共通部分がわかりやすいように 太字にしてあります。ちなみに 「預修十王経」における十王の列挙部分についてですけど、その 記述はこの「地蔵十王経」よりさらに簡潔になっています。たとえば 5:閻羅王 のところは:

第五七日過閻羅王 讚曰。
 五七閻王息諍聲  罪人心恨未甘情
 策髮仰頭看業鏡  始知先世事分明 [大雑把訳]
これだけです。なので「地蔵十王経」とは、 「預修十王経」における十王の列挙部分ををベースに、 日本人が多少のトピックを追加したもの。 ‥と、たぶんそういう感じです。

[次] 1:秦広王から4:五官王