そのほか の でし が やってくる
そしてシャンカラ様は、カルナタカにあるハリハラ、モーカンビカ、シリーヴァティ
といった聖地を訪れなさいました。
シリーヴァティには、ある信仰篤いバラモンがおりました。
その者には、口がきけない息子がおります。
バラモンはこのことを不幸だと感じておりましたが、彼はその子をつれて
シャンカラ様のもとに参上し、土下座して、こう申しあげました。
「貴き方に申し上げます。私の息子はいま七歳になりますが、
精神的にはまったく成長していないように思われます。
息子は文字すら学んではおりません。また息子と同じくらいの年の子らが
うちに来ては遊びにいこうと誘ってくれるのですが、
決してそれに加わることはいたしません。
息子が黙って座っているのを見て、その子たちは息子をたたくのですが、
それでも息子は迷惑がる素振りを見せることすらしない有様なのです。
息子を何とかできるお方といえば、もはや、あなた様だけでございます」
シャンカラ様はその子に話しかけられました。
「おまえは何なのだ。
なぜおまえは愚鈍な者であるかのような振る舞いをしているのだ？」
これに対して、その子は口を開いて、生まれてはじめて口をききました。
その子は話したことがなかったのですが、それでも、
すばらしい知恵のかがやきが、どこからともなく漂っていたのでした。
シャンカラ様は、その子が、どの先生について勉強したわけでもないのに
アートマンについての知識を持っていたことをお知りになり、たいそう
驚かれました。
シャンカラ様はその子に祝福を授けられ、その子の父親にこう告げられました。
「この子は並みの子ではない。我々にこの子を預ける気はないか」
その子の父親は同意しました。シャンカラ様はその子に「ハスターマラカ」という
名前をつけられました。この名前には、アートマンについての知識をつかむことは、
その子にとっては手の中にあるアマラカの実をつかむように簡単だ、という
意味が込められています。