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日本の『往生要集』は、その元ネタとして 『正法念処経 (大正721;巻17)』を重視しています。そこで、 『正法念處經 (大正721;巻17)』[SAT]で列挙されている「三十六種餓鬼」を ここで紹介しておきます。
そして、この中で『往生要集』で紹介されているものについては 強調文字にしてみました。
それぞれの項目は「迦婆離。鑊身餓鬼。」のようになっています。この前半の 「迦婆離」というのがたぶんサンスクリットの音写で、この場合「カバーリ」かな? 他方、後半の「鑊身餓鬼」というのが名詞を意訳したもので、この場合 「釜のような身体の餓鬼」ということですかね。そんな感じになっています。
(挿絵は『往生要集 : 和字・絵入. 巻之中』風月堂等,1883(明治16)(国立国会図書館蔵).より)
( 『往生要集』[SAT][往生要集しおり] だと、上記以外にも「六波羅蜜経」から2種類、 「大論」から3種類、 「瑜伽論」から3種類の餓鬼を紹介しています。よくチェックしたよなー。と感心します)
そして。こうして一覧を見てみると、たぶん現代日本では最も名前が知られていると おぼしき「焔口餓鬼」[救抜焔口餓鬼陀羅尼経; 餓鬼草紙]がいないこと がわかります。意外。‥‥いや、ひょっとして「焔口」というのは 餓鬼の種族の呼称ではなく、かの阿難と会話した餓鬼の個人名だったりするんでしょうか。 (つづく)
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