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[かんのんさま::メモ]

かんのんさまは南に西に

[梵文法華経/24:かんのんさまの章] に関する「めも」です。

[前] 観無量寿経

かんのんさまは南(南方補陀落)に

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はじめに

最初に書いておきます。 「補陀洛」「補陀落」「補怛洛迦」「ふだらく」「ポタラカ」‥等が指し示す対象はすべて同じものです。 サンスクリットなどのインド系言語で "potala"(ポータラ) あるいは "potalaka"(ポータラカ)と呼ばれるものに中国人が漢字を当てたもの、また、 その漢字を無理に日本的に読み下したものですね。 また「華厳経」の一部では「光明」という訳語がつけられていますが、この華厳経の「光明」は "potalaka"の語を意訳した結果と思われます。 それゆえやはり「補陀洛」等とは同じ対象を示す語ということができます[*1]


*註1
「光明」という単語が「ぽーたらか」なのではなく、たまたまこの用例では「ぽーたらか」に 「光明」という訳語を当てたらしい、という話ですので念のため。
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華厳経と観音様と補陀洛と

「華厳経」(『大方廣佛華嚴經』 SAT:[T278][T279][T293])では 「南方」にある 「光明山」[T278;717c27周辺]、 あるいは「補怛洛迦」[T279;366c03周辺][T293;732c21周辺] に観世音(観自在)菩薩がおられる、という記述があります。 「ふだらく」とは、「華厳経」において観音様がお住まいになっているとされる山の名前だったのです。

 文脈としては、祇洹林(逝多林;ジェータ林)よりも南にある覚城(福城,福生城)という町の東におられる文殊師利菩薩が、 求道の志をたてた善財童子という人に 各地の「善知識」を尋ねまわってあれこれ質問してみたら と勧め、 善財童子はその勧めに従って諸国の「善知識」たちを尋ねて教えを乞うていく‥というものなのですが。 その「善知識」の一人(27人目)として観音様が登場してきます。

 具体的には、観音様はこんな感じで紹介されています:

善男子。於此 南方有山。名曰光明。彼有菩薩。名觀世 音。汝詣彼問。云何菩薩學菩薩行修菩薩 道。 [ 大方廣佛華嚴經 (大正278;p.09:717c--718a) ]
[大雑把訳] お若いの。ここから南の方向に 「光明」(他の訳では補怛洛迦(ぽたらか)) という山があり、 そこに観世音(他の訳では観自在) という菩薩がおられる。 そこに行って問うが良い。菩薩学菩薩行修菩薩道とは何かと。

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補陀洛は南方にあり

 「お若いの。ここから南に『ふだらく』があり、そこに観音様がおられる」‥‥この 紹介の文句から、もし観音様が『ふだらく』におられるのなら、それは南方じゃないの?? 、ということが推測される訳です。しかし観音様を紹介した安住長者と 我々との位置関係が 厳密には不明ですから、『ふだらく』は安住長者の住まいより南なのは確かでしょうけど、 我々からも南方なのか、というのはちょっと微妙かもしれませんね。そのへん、どうなんでしょう?

 『華厳経』の文脈としては、善財童子と呼ばれる人が「善知識」と呼ばれる師たちを 尋ね歩く。「善知識」に会って問答すると、その後に次に会うべき「善知識」を紹介される。 ‥‥というパターンの連続になっているんですけど。善財童子に紹介される次の善知識たちは、 ほぼ決まり文句のように「ここより南方に●●がおられる」という感じで紹介されてるんですよね。

 『華厳経』で善財童子が紹介されて会いに行く「善知識」は53人ということらしい のですが(正確には延べ55人だが、2人一緒に教えを説く人を1人と数えたりすると 53人になる、と。丹治昭義(1994)『さとりへの遍歴―華厳経入法界品(上)』中央公論社. p.14)、 その27人目、ほぼ中間点に当たる人物が観世音菩薩です。そして 丹治1994をチェックしてみたところ、やはり。 観世音菩薩にたどり着くまでは全部「ここより南方に○○がおられる」という パターンで次の善知識への紹介が行われています。 (なお、観世音菩薩から次の善知識・アナニヤガーミンの紹介がなされる時、はじめて 「ここより南方に‥」というパターンが崩れてます。アナニヤガーミンは東方におられるんですよね。)

ということで。 我々がいるこの世界と『ふだらく(光明)』との直接的な関係はハッキリしないんですけど、 インドにいたはずの善財童子から見た 南の南の南の南の南の南の南の南の南の南の 南の南の南の南の南の南の南の南の南の南の 南の南の南の南の南の南‥ だからたぶん「光明(ぽたらか)」は 我々の世界よりも南なんだろう、間違いない。 という感じで判断してもよさげな感じです。

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