[前] 地獄に観音様(中国・清初) |
Wikipedia の「観音菩薩」の項目(参照したのは 2010/01/19)を見ると、ズバリのことが書かれてます。
観音が世を救済するに、広く衆生の機根(性格や仏の教えを聞ける器)に応じて、種々の形体を現じる。これを観音の普門示現(ふもんじげん)という。法華経「観世音菩薩普門品第二十五」(観音経)には、観世音菩薩はあまねく衆生を救うために相手に応じて「仏身」「声聞(しょうもん)身」「梵王身」など、33の姿に変身すると説かれている(下記の通り)。
西国三十三所観音霊場、三十三間堂などに見られる「33」という数字はここに由来する。なお「三十三観音」(後述)とは、この法華経の所説に基づき、中国及び近世の日本において信仰されるようになったものであって、法華経の中にこれら33種の観音の名称が登場するわけではない。
この普門示現の考え方から、六観音、七観音、十五尊観音、三十三観音など多様多種な別身を派生するに至った。
このため、観音像には基本となる聖観音(しょうかんのん)の他、変化(へんげ)観音と呼ばれるさまざまな形の像がある。阿弥陀如来の脇侍としての観音と異なり、独尊として信仰される観音菩薩は、現世利益的な信仰が強い。そのため、あらゆる人を救い、人々のあらゆる願いをかなえるという観点から、多面多臂の超人間的な姿に表されることが多い。
三十三身の種類
(1)仏身(ぶっしん) (2)辟支仏身(びゃくしぶつしん) (3)声聞身(しょうもんしん) (4)大梵王身(だいぼんおうしん) (5)帝釈身(たいしゃくしん) (6)自在天身(じざいてんしん) (7)大自在天身(だいじざいてんしん) (8)天大将軍身(てんだいしょうぐんしん) (9)毘沙門身(びしゃもんしん) (10)小王身(しょうおうしん) (11)長者身(ちょうじゃしん) (12)居士身(こじしん) (13)宰官身(さいかんしん) (14)婆羅門身(ばらもんしん) (15)比丘身(びくしん) (16)比丘尼身(びくにしん) (17)優婆塞身(うばそくしん) (18)優婆夷身(うばいしん) (19)人身(じんしん) (20)非人身(ひじんしん) (21)婦女身(ふじょしん) (22)童目天女身(どうもくてんにょしん) (23)童男身(どうなんしん) (24)童女身(どうにょしん) (25)天身(てんしん) (26)龍身(りゅうしん) (27)夜叉身(やしゃしん) (28)乾闥婆身(けんだつばしん) (29)阿修羅身(あしゅらしん) (30)迦樓羅身(かるらしん) (31)緊那羅身(きんならしん) (32)摩睺羅迦身(まごらかしん) (33)執金剛身(しゅうこんごうしん)
ちなみに「三十三観音札所」の一番目が「仏身の観音」で、二番目が「辟支仏身の観音」で‥ なんてのは見たことがありませんので、たぶん上記「三十三身の種類」における 「三十三」という数字だけが一人歩きしちゃったんですね。
[Table of Contents]んで、上のように書いただけだと面白くないですので、せっかくなので 『妙法蓮華経「観世音菩薩普門品第二十五」(観音経)』における該当部分 [SAT]を 紹介しておきましょう。三十三身のそれぞれが 書かれてる部分にシルシをつけてみました。ちょっと見やすいように、 5つごとに色を変えてあります。こうすると、確かに「かんのんさまは、33種類の 姿をあらわす」と書かれているのだなあ、というのがわかると思います。
これでご納得いただけたでしょうか。
[Table of Contents]なお。いろんな姿を取るのは「かんのんさま」の専売特許ではなく、 『地藏菩薩本願經』 [SAT] の[ここ]によれば、 地蔵様も いろいろな姿を取って人々を導かれる、と語られています。曰:
それと、これは本当に余談になりますけど。 国産とされる「地蔵十王経」では、 地蔵菩薩は「十王」たちの5番目・閻魔王の本地仏とされています。 この「十王」たちの10番目が五道転輪王と呼ばれる王なんですけど。 上の『地藏菩薩本願經』を 見ると、お地蔵様が取られる身体に「転輪王」は入っているのに「閻魔王」が入ってない! 逆じゃん!! ‥というのがちょっと気になりました。まあキャラクター設定を行った人たちが 全然違うわけですから、矛盾があっても仕方ないことではあるんですけどね‥。閑話休題。
‥という感じで、この項を締めようと思ってたんですけど。
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