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安藤健二(2008)『封印作品の憂鬱』

著 安藤健二
年 2008
題 封印作品の憂鬱
発行 洋泉社



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注意事項

 本ページは 安藤健二(2008)『封印作品の憂鬱』の あらすじでも、感想でも、書評でもありません。 いつか、ひょっとして何かの話題に出すかもしれない時のための 自分用のメモ・備忘録的なものであり、それゆえ、元の書籍の 文脈を大きく外れたことを書いていたりしますので、誤解なきようお願いします。 (え? そんなものオープンにするなって? ‥いやー。すみません。オープンにしておかないと、 自分で書いたメモの存在さえ忘れてしまうもので。健忘症か?^^;)


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1.ポケットの中の悪夢

日本テレビ版『ドラえもん』(1973)。 ‥やはり裏事情が面白いですね。あいかわらず、よく調べたなー、という感じです。 日本テレビ版が半年で終わったのは、 アニメを製作していた日本テレビ動画(名前だけ見ると、日テレの系列会社かと思って しまうんですけど、じつは全然関係ないというのが意外)が、まさにテレビ放送中に 実質的な社長の失踪→会社解散(p.61)、そこでアニメを突然打ち切らざるを得なかった、 というのは驚きです。なのでフィルムは一部現存するらしいですけど、 現状、著作権者が誰なのかよくわからないので何ともならない状況らしい、と。 そしてもう一つの壁が原作の藤子・F・不二雄氏の意向。 みずからの代表作とすべく精魂をこめ続けた『ドラえもん』のアニメ化だというのに、 人物設定などは勝手に変えられ、文句を言おうにも原作者はほとんどタッチする機会がなく、 会社の都合でアニメ放送は勝手に打ち切られ、連絡もなく、しかし 「当時は、アニメが終われば雑誌連載も終わる、というのが普通だったんです」(p.97) ということで、せっかくの連載さえ打ち切られそうになる危機‥ (それで書かれたのが 『さようなら、ドラえもん』の回で、しかもそれが6巻に置かれた理由が、 最初に単行本を出す許可を小学館の社長にもらったとき『6巻までだったらいいよ」(p.98)と 言われたから、とかいう裏話もなかなか興味深いです。) ‥‥これはちょっと状況が悪すぎですよね。そしてその後のテレ朝版『ドラえもん』が 大ヒットして、いつまでたっても終わる気配がない状況では、 そりゃビジネス的(金銭的)にも名誉的にも 藤子F氏が「放送してほしくない」(p.44)と言うのも当然な感じですよね。うーむ。

それと。この旧『ドラえもん』が始まるまでの状況も、興味深いというか何というか。 「そもそもアニメ会社が決まっていて、原作を何にするかのほうが決まっていなかった」(p.52)、 「『本来は別の番組で決まっていたのを、無理やりねじこんだ』みたいな噂」(p.56)、 「読売新聞出身の日本テレビの専務が「やるにあたっては、製作会社は日本テレビ動画だぞ」と命令」 (p.55)、 「田中角栄と日本テレビ動画は見えない糸で繋がっている可能性」(p.57)‥‥ 言ってしまえば「たかがアニメ」が実はこんなに キナくさい物件だったというのには驚きでした。 まあキナくさいといっても、 角さんが「まあ、よろしく頼むよ」と一声かけた程度なんでしょうけど。

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2.白猿の暗黒舞踏

映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』。 ‥んー。当事者同士だと「なあなあ」で済むことが、やがてそれでは済まなくなる。 藤子不二雄が解散(?)した最大の理由かもしれないこと(遺産相続などで将来起こりうる事態に、 あらかじめ備えたのでは?との憶測)が、もし本当に起こったらこんな感じになって しまったのか? と考えると、なかなか興味深い話ですよね。 なにせ当時の「なあなあ」と、円谷の関係者たちが感じていた 「皐はそういうことをするような人間だったんだ」(p.237)といった円谷皐(のぼる)社長(当時)への不信。 騙されたのは円谷プロなのかソンポートなのか。真相は闇の中なんですけど。 でも当時の人たちの「権利」に関する いい加減さは、そこまで行くと面白いですよね。 自分たちが権利を持ってないかもしれない映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』 (「日本で公開するときにはソンポートに500万円払って、原版を借りてきたんだ。 ソンポートに金を払って、権利を買って上映するってことだよ」(p.188)というのを見ると、 この作品はソンポートの所有物と認めてるようにも読めますけど、でも 「当時の円谷プロは、『合作ではない、円谷プロの作品だ』と言ってたよ」(p.190)ともありますし‥。 とにかく、いろんな考え方が錯綜していて 関係者全員の統一見解みたいなものはなかった、という ことはよくわかりますね)を、 権利を持ってるかもしれない人に無断で ビデオ・LD化していた以前の段階がきわめて異常すぎ、ってことですよね。

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3.歯車と少女

みずのまこと版『涼宮ハルヒの憂鬱』。 一言で言ってしまうと「まさか、そんなに売れるとは‥」という感じみたいですね。 「ちゃんとメディアミックスしましたよ」的言い訳のため、みたいな感じで メディアミックスしてたら、その後「なんか行けるぞこれ」という話になったため、 その言い訳的にやられていたマンガ版が打ち切られ、「なかったこと」にされつつあるという‥。 マンガを担当した、みずの氏のことを考えると涙が出てくる話です。

 あと初期アニメ版もヤバいかも‥とか書かれてますけど、それが現状どうなったか わかりませんが、本の記述内容から察するに、けっこう「金になるモノ」みたいですから、 長い目で見れば心配はないように思います。 そのへん「出しても売れそうにないやつ」 「『金になる』を捨ててでも出したくない特別の理由あり」とは、やっぱ違いますよね。


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