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[チラシの裏]

上野佳恵(2012)『「過情報」の整理学 -- 見極める力を鍛える』

著 上野佳恵
年 2012
表題 『「過情報」の整理学 -- 見極める力を鍛える』
シリーズ 中公選書008
発行 中央公論新社



読んだ後、ちょっとネタとして使えそうなところもあるなあ と思いましたので、 とりあえず概要をまとめてここに出しておきます。 (概要をまとめて よく見えるところに出しておかないと、読んだ内容も、これを読んだことさえ 肝心なときに思い出さないことがありますので‥)

 非常に読みやすいですね。この読みやすさは何なんだ‥。

[Table of Contents]

1. 情報平準化のおそろしさ

  • 総務省情報通信政策研究所『情報流通量インデックス』(平成23年8月)によると、 インターネットの情報量はH13からH21までの8年間で70倍超(p.19)。
  • 情報量が膨大になった今、一次情報と二次情報のあいだに1.5次情報を想定しても よいのでは? 1.5次情報は、警察など公的機関や新聞報道など、信頼性が高いと 判断できる情報源からの情報。(p.28)
  • コピペの危険性。「情報」は最初、フランス語の renseignement の訳だったらしいが、 Webで調べると renseinement というスペルミスが目立つ。コピペの際に 裏を取るという習慣がなくなってきてる? (p.32)
  • ミシュランの星と、食べログの星。どっちも同じように見えてしまうが、そうではない。 ミシュランは、それが正当かどうかはさておき、長年にわたってブレない評価基準があって、 それに基づいて判断する。「個人の感想」ではない。
[Table of Contents]

2. 「みんな」とは誰のことか

  • Yahooなどポータルサイトのニュースは、自前のものでない。配信された記事を、 Yahooが選別し並べてるだけ。並べ方の指針は秘密(p.50)。
  • Googleの検索順位も、よく考えてみると不思議。何の順位か。お勧め順でも、 重要順でも、人気順でもない。基準がよくわからない「検索システムが決めた順位」。 SEO全盛の今は、お金をかけた順とも言えそう(p.53)。
  • ネットで本を購入する場合も、実物をパラパラとめくって判断するのでなく、 他人のレビューを頼るしかない。意思決定に、他人の意見が占める割合がデカい(p.58)
  • Amazonの「おすすめ」は、過去の購入履歴などを利用して、大まかな傾向を 紹介してくれるだけ。それで「おすすめ」なのか。 (魚屋の「奥さん今日はハマチがお勧めだよ」と同じか違うか。) 単に「この人ならこれが売れそう」というだけじゃないのか(p.60)。 100人の「みんな」が「いいねー」と言ってたとして、だから何? (笑)(p.66)
  • ニュースサイトもアクセスランキング形式。これだと読みたいニュースしか読まなくなる。 食物にたとえると、どうしても偏食になり身体を壊すだろう(p.62)。 これについては、記事の配置にも工夫してる紙の新聞に軍配。
[Table of Contents]

3. 情報のウラを「読む」

  • 「ネットで調べました」は禁句。情報の発信源に注意するのも大事。 情報の信憑性を気にする習慣がつくかもしれないから(p.85)。 (Y!Jのニュース。Y!Jは情報発信源じゃない。)
  • ダブルチェック・トリプルチェックの重要性(p.94)。 ただネットだとWikipediaのコピペなど、コピペ情報が蔓延してて危険。 ビジネス関連の場合の、一般的な情報源の信頼性: (1)官公庁資料、(2)業界団体資料、 (3)シンクタンク資料、(4)民間調査会社資料、(5)新聞雑誌。(p.97) ただ官公庁の調査内容でも、たとえば空港の需要予測とか、いろんな大人の事情が絡むものは 内容はアテにならないことも多い(p.101)。
  • スマフォに対する意識調査の例。「買いたい 17%」「興味がある 31%」 「当分購入予定はない 26%」「関心がない 18%」「もう持ってる 8%」‥‥ 保有率は1割未満、「買いたい」「興味あり」の合計が48%、 「無関心」「購入予定なし」の合計は44%、「無関心」は約2割、など、 立場が違えば違う全体像が見えてくる。しかしこれに 「スマフォ、半分が購入予備軍」という見出しがつくとどうか。 見方が画一化されてしまいがちにならないか。(p.113) 統計の数字は、何を目的として、誰を対象に、どう調査したかで数字はかなり違う(p.116,140) (PCオンチな家庭は「通信利用動向調査」の わけわからん調査項目に答えるのもウンザリ)。
[Table of Contents]

4. 情報を「選ぶ」訓練をする

  • コピペはなぜダメなのか。裏取りが不十分だから。
  • 検索では、探せるものと、探せないものがある。新製品のアイデアは検索できない。 情報活用力とは、正解を探し出す能力でない。正解に近いこと、正解に近づく手がかりと なる複数の情報を組み合わせて、そこから自分なりの答を導きだすこと(p.133)。
  • 存在しないデータもある。たとえば「世界の難民キャンプにおける学校設置状況」など (誰が調べ得るのか?)。ある、ないの確度を上げる方法。誰がそのデータを調べていそうかを 考え、その人たちの周辺を洗うのだ。国連難民高等弁務官事務所とか。
  • リサーチに必要なのは、目的をはっきりさせること。最終的にできあがるレポートの内容を ある程度イメージして、そこから逆算して、何をどう調べるかを決めていくかんじ。 「何のために情報を集めるのか」「最終的にどうまとめるかを事前にイメージ」 「調べる前に、どう調べるかを考える」が重要(p.147) (情報収集作業では、なにをどう調べるかというのは、 だいたいパターン(フレームワーク)ができている。)
  • 情報とは何か。最終的には「説得材料」だ(p.158)。つまり、相手に理解してもらい 「はい」と言ってもらうために必要となるもの。説得力。 説得したい相手のことを考えるのも重要。
[Table of Contents]

5. インターネット時代の情報リテラシー

  • ポイントは、ふと考えてみること。たとえば「パソコンの世帯普及率はどれくらいか」と 聞かれたときの当てずっぽうな答え。なんでそう思ったのか、もうちょっといろいろ 考えてみるとどうか、など、自分の思考回路を整理し、そこに思い至る過程を具現化し 説明できるようにする、そんなことをするのが大事
  • 自分の身近な状況から具体的に考えることは第一だが、同時に、一歩引いて、遠くから 自分の状況を眺めてみることも大事。
  • 本屋や図書館に行くのも大事。思ってもみないところからの発見、というのが 非常に大事。図書館の場合、過去の蓄積があって、それが重要。
  • 街に出て、いろんなところに目をやり、いちいち考えることは大事。意識しなければ 見逃してしまうたくさんの情報を、情報として意識してみることにより、 情報を見抜く力は養われる。

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