[Most contents are written in Japanese Language] [Always under construction]

[チラシの裏]

[memo] 朝鮮韓国に関する雑多なメモ(上下関係)

題 [memo] 朝鮮韓国に関する雑多なメモ(上下関係)
日付 2016.9
パッチワークの読書メモ



[Table of Contents]

王様の絶対性

[ 朝鮮事情:: 王様の絶対性 ] からの 続きになってます。

「トンイ」などの韓流ドラマを見ると、重臣たちが いろいろと陰謀をめぐらして政治対立、というか 敵対勢力どうしの足の引っ張り合いを延々と続けている訳ですけど。そんな中、王様だけは 聡明で公明正大、党派対立から離れていて、まるで「絶対善」を体現するような存在として描かれることが 多いんですけど。ああいうドラマを見てると、朝鮮における「王様」の存在って、どんなだよ?? 的な ことが気になってくる訳ですから、そのへんをちょっと調べてみた訳です。

(とくに朝鮮時代劇って、史実性がほとんどゼロなものばっかりじゃないですか。 そんなほぼ完全フィクションものでの王様の描き方というのは、つまり、現代の韓国人たちが考える 「王様」的な存在がどんなものかがわかるものですよね。 つまり「大統領の理想像」「第一書記の理想像」がそこに描かれてる、と。)

国王は、臣下のなんびととも親しくすることはできない。ひとたび国王が誰かに手を触れれば、 触れられた者は聖なる者となり、このうえない寵愛のしるしとして、一生涯人目をひく表示 ---一般に赤い絹のリボン---を身につけねばならない。‥(略)‥ 中国の経書によると、ただ王のみが民の公益に関心を注ぎ、王は、法の遵守を厳しく監視し、 すべての臣下に対して公正に君臨し、高級官僚の不当徴税から人びとを守る。 しかし、このような国王は、朝鮮では稀である。朝鮮では、王位についた者のほとんどは、 怠惰な者か、堕落した者か、遊蕩者か、早老か、愚者か、または無能力者であった。若くして 王位が約束されている不幸な王子には、ありとあらゆる気まぐれが許され、助言者もなく、 十二、三歳ころから宮中のハレムのなかで滑稽きわまる礼儀作法に縛られているというのに、 彼がどうしてそれ以外の人物になり得たであろうか? (朝鮮事情1874, pp.49--50)
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

[送料無料] 三省堂書店オンデマンド 東洋文庫「朝鮮事情」
価格:3888円(税込、送料無料) (2017/10/13時点)


王の有能無能に関しては、私はそれを論じるほどの情報を持っていませんので、とりあえず 紹介だけですけど。しかし確かに、ここまで聖化してしまうのは何だろう? とは思いますし、 小さいときから そんな育てられかたをされたら、そりゃ大抵は暗君か暴君にしかならんだろう とは思いますよね。

 国王との接触については、 別のところにも「この法令は、国王没後も守られる。‥(略)‥遺体は整えられて防腐処理が なされ、衣服を着換えさせられるが、こんな場合でも、特別な方法を使って、 国王の御身体には誰の手も直接触れぬようぬする」(p.56) ともあります。 そのへん、とにかく徹底してますよね。何なんでしょう。

 しかし。そこまで神々しい、まるで神様の化身のような御存在が行っておられる政治に しては 政治が あまりにお粗末すぎないか、世の中が悪すぎないか?‥ とか思わないのか? とも思うんですけど。

一般の民百姓は、国王とかたく結ばれているため[儒教の王道思想の影響か?]、 彼らが蒙っている虐政や誅求を国王のせいにすることはない。すべての責任は、 官吏たちに帰せられる。 (朝鮮事情1874, p.51)
なるほど、そのカラクリですね。トップじゃなくて、周囲が悪いと。 北朝鮮の金王朝も安泰のはずですよ、そりゃ‥

[Table of Contents]

王様は「内なる他者」?

王様の扱いについては、こんな指摘もあるみたいです:

 その歴史的な典型を李氏朝鮮王朝の高級官僚たちにみることができる。彼らは、有力 な血縁一族(氏族)を中心に徒党を組んで政権争いにしのぎをけずり合った。ある党派 が政権を握ると、他の党派はそれに協力して政治を行なうのではなく、次の政権奪取を 狙ってさまざまな手を打つことに終始した。なぜならば、自党派の主張が唯一の政治的 正義なのであり、他党派は不正義によって政治を行なう者とみなすからである。したが って、彼らには党派を超越して国家=王権を支えるために連帯するという発想はまった くなく、そのため王党派という存在も生まれることがなかった。彼らは最初から最後ま で、血で血を洗うすさまじい党派闘争に終始したのである。 (呉善花(2012)『虚言と虚飾の国・韓国』ワック, pp.21–22)
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

虚言と虚飾の国・韓国 (Wac bunko) [ 呉善花 ]
価格:966円(税込、送料無料) (2017/10/15時点)


王様は、党派対立とは外なる他者、というか党派対立の裁判官みたいな位置付けに なってるんですよね。‥‥でもまあ、これについては日本の天皇も同じようなものと いえばそうかもしれませんけどね。天下を取る者は 天皇制を倒すのではなく、「天皇をお護りする」という名目で天下を取る、という‥。 でも、同じようなもののはずなんですけど、何となく印象が違って見えるのは 何なんでしょう? 私の気のせい??

[Table of Contents]

貴族は略奪三昧(1)

今の北朝鮮でも同じことは言えそうな話ですけど。「王様の絶対性」は裏をかえせば 「王様の権力の分け前をいただいてる貴族たちの特権」も絶対的なもの、 ということになります。李朝時代の貴族たちについて、 細井1923は以下のように解説しています:

惟ふに李朝五百年史は、世界に類 例なき悪虐なる民膏厭搾の暴政史たり。左に小著鮮満の経営『朝鮮問題の根本解決』 に論述したる一説を摘録せむ。 ‥(略)‥  李朝の所謂士林---智識階級にして同時に権力階級---は、掠奪を公許せられたる 遊食者流たりき。朝鮮人の最大の希望は官場の人となりて掠奪を公許せらるる事な り。彼等が文学を学ぶは、此の特権を贏得せんとする以外、一毫の他意なく、適ま 文字を解せざるも財力に於いて裕かなる者は、門閥の尊貴なる他家の譜系を購求し 権奸に賂して官場に入り、依て以て掠奪公許の特権階級に伍するを無上の栄誉とし 畢生の事業とせり。現に韓国政府時代の大官にして、家門卑しく、他の姓氏を購ふて 官場に入れる者あり、故に五百年間、君王として上に奉戴せる李氏が、卒先して盗 賊の首魁となりて満廷の臣僚に放肆なる掠奪の自由---生活---を付与し得たる期 間のみ豺狼の如き士林の遊食者流に依りて君王としての存在を許されたるも、其の 自由が、潔癖にして性急なる日本及び日本人の手に依りて局限せらるるや、彼等は 一朝忽然李氏を遺るること路傍の頽鞋の如く然るものありき。 (細井肇(1923(大正12))「鄭鑑録の検討」『鄭鑑録』自由討究社, pp.40--41.[Googleブックス])
何気にスゴいこと書いてますね。「彼らが文学を学ぶのは掠奪特権を得るため以外の理由なし。 李氏は、彼らに掠奪の特権を与えることができた時期だけは君主として認められたが、 日韓併合後はポイ捨てにされてしまった」と‥。

 まあこの細井という人は日韓併合推進派の人ですから、日韓併合を正当化するため 李氏の暴虐を誇張した感じになっている可能性は否定できませんけどね。

[Table of Contents]

貴族は略奪三昧(2)

上では日本人が書いた文を紹介しました。しかし当時の歴史的状況を考えると、 日本人は自分たちの朝鮮解放(朝鮮支配)の正当化のため、わざと朝鮮における状況を 悪く書いたのかも‥という疑念がないこともありません。 そこでイギリス人の証言を以下に:

The Korean official is the vampire which sucks the lifeblood of the people. ...(snip).. Most officials of any standing live in Seoul for pleasure and society, leaving subordinates in charge, and as their tenure of office is very brief, they regard the people within their jurisdiction rather with reference to their squeezeableness than to their capacity for improvement. (Isabella Bird Bishop(1898), p.303. [Web Archive]) // 朝鮮の役人は、人民の生き血を啜る吸血鬼である。‥(略)‥ どんな地位にいる役人でも、快楽と社交のために大抵ソ ウルに住んでいる。任地には部下を残している。官職の任期がひどく短いので役人は、その 支配権内の人民を向上させる能力の持ち主としてよりもむしろ搾取の対象として見ている。 (朴尚得訳(1994)「朝鮮奥地紀行2」東洋文庫573, p.144)
If a man is reported to have saved a little money, an official asks for the loan of it. If it is granted, the lender frequently never sees principal or interest; if it is refused, he is arrested, thrown into prison on some charge invented for his destruction, and beaten until either he or his relations for him produce the sum demanded. (Isabella Bird Bishop(1898), p.337. (pdf.387) [Web Archive]) // もしある人が小金を溜めた、と伝えられると、 役人がその貸与かたを要求する。仮にその要求を承諾すると、貸し手は往々にして元金また は利息に二度と会えなくなる。もしその要求を拒絶すると、その人は逮捕され、破滅させる ために捏造されたある種の罪で投獄される。そして要求された金額を差し出すまで、彼か親 類の者が鞭打たれる。 (朴尚得訳(1994)「朝鮮奥地紀行2」東洋文庫573, p.196)
‥や、やりたい放題(^o^;

 さらにイザベラバード女史は、この官吏どもの やりたい放題の搾取が、当時の朝鮮の 停滞の最大の原因の一つであろうと考えているようです。何故なら‥

Travellers are much impressed with the laziness of the Koreans, ...(snip)... I greatly doubt whether it is to be regarded as a matter of temperament. Every man in Korea knows that poverty is his best security, and that anything he possesses beyond that which provides himself and his family with food and clothing is certain to be taken from him by voracious and corrupt officials. (Isabella Bird Bishop(1898), p.336. (pdf.386) [Web Archive]) // 外国人旅行者は、朝鮮人は怠惰だ、という印象をたくさん持たされる。‥(略)‥ 朝鮮人の怠惰が気質の 問題として見做されるべきものかどうか、私は大いに疑問に思うようになっている。朝鮮に 居る朝鮮人の誰もが皆、貧乏が最良の防衛手段である事、そして彼自身とその家族が着たり、 食べたりする以上の物を何か所持していると、飽く事を知らない堕落した役人に確実に取り 上げられる事を知っている。 (朴尚得訳(1994)「朝鮮奥地紀行2」東洋文庫573, pp.195--196)
朝鮮人は怠惰だ、と外人たちは思ってしまうようだが、それは朝鮮人気質のせいでなく 政治に問題がある、との女史の分析です。なぜなら、ちょっとでも貯蓄があると官吏の略奪の 対象になってしまい酷い目に合ってしまう。それならイッソ、何も持ってない赤貧のまま 暮らした方が、酷い目に合わない分だけマシ。‥そう気づいてしまった人たちが マジメに働く訳ないじゃん!! と。‥んー。

 でもこれって、現代の韓国における 「甲の横暴」と ほとんど同じ構図ですよね。当時からそうなのか‥と、やっぱりそういう印象は持ってしまいますよね。

[Table of Contents]

上を上げる=自分を上げる

また「王様の絶対性」とも考え合わせると。つまり貴族階級(両班)の人たちからすると、 王様を絶対的存在として聖化すればするほど、上下間格差がさらに一層際立つことになります。こうして 上下間格差が際立つことによって、 庶民たちに対する自分たちの聖性絶対性も増すことになり、それゆえ 自分たちの略奪暴行がさらに当然化・正当化される。‥そんな仕組になってるんでしょうか。 んー。

 この点については、現代においても同様の構図はあるみたいです。

金正日とキム・ヨンジュの権力争奪戦は、金日成の個人崇拝の程度をどちらがさらに高め、金日成から後継者の資格を認めてもらえるかの競争だった。 [ ファン・ジャンヨプ氏の回顧録(東亜日報2010年10月) ]
1960年代になるのかな? その時期に、金正日とキム・ヨンジュが金日成の後継者争いをしていた。 争点は「金日成への個人崇拝」の程度をどちらが上げることができるか、ということ。‥んー。 でもこの場合、ポイントはあくまで「自分と庶民の格差を広げること」よりも 「王様をさらに聖化することにより、さらなる王様の恩寵を得ること」にあるみたいですから、 そこは私の憶測とはちょっと違う感じみたいですけどね。


関連(?)情報

[Total pages] [Prev][Next]