主人公は郷里をはなれて上京し、 昼はガソリンスタンド、夜はボッタクリのピンサロでバイトをしている。 親にもマメに電話を入れる、まあ心やさしい労働者階級の青年といったところ。 いっぽうの女は、デザイナーをやっている義父とただれた関係をもっている、 「翔んでる」というより「漂ってる」という感じ(自称)の、学生にしてすでに 有閑がはいった女。これがまた有閑な感じの「社長の放蕩息子」たちと、 よくツルんでいる。
さて、ふとしたことからふたりは接触をもち、女は男に興味をもつ。まあ、 彼女にとっては新鮮なタイプのヒトといったところか。でイロイロちょっかいを 出す。でも、それが義父に対する当てつけのようだったり、有閑青年たちとの 絡みがあったりするため、男はフラフラしながらもなびかない。 そんなこんなで半分ダレながら見ていると、女が 有閑青年たちに、男が働いているピンサロに行こうと言いだす。おっ。
有閑青年たちはピンサロで大はしゃぎ。ムッとした男は、いつもどおり、 ボッタクリ額を請求。「全部で 15 万です」「払うわ。ただし 1 人 1 万円ね。 それでも高すぎるわ」「いえ、ちゃんと 20 万払っていただきます」「おい、 さっき 15 万と言っただろ」「間違えてました」「なんだとコノ」 (うろおぼえ) ... かくて大乱闘:-) しかし店長がいなかった。店長は元キックボクサーで、 ムチャクチャ強いのだった。... 男、フクロにされる。止めに入った店長の 奥さん(ピンク嬢でもある)は腹をけられる。ああ。じつは彼女は妊娠していたのです。 腹をかかえて悶える奥さんを見た青年たちは逃げ出す。 なりゆきをジッと見つめていた女だけは残った。ひとり残った女を、 男は「なんでこんなことするんだ」と殴りつけ、強姦。ヲイヲイ.. (-_-; ちなみに店はグチャグチャ。
後日。店長と男は、ふたりで復讐に出かける。
有閑青年たちがタムロする店。とうぜん女もいる。すぐに乱闘開始だ。
(開始直前に、ビール瓶を割って、それをガリガリとかじる益富店長。
見ててつい「おお! 格好いい!!」と声を出してしまいました^^
。)
はじめ圧倒的だった店長のイキオイも、後からイスで殴られたところで
止まる。やはり多勢に無勢。フクロにされた店長は、睾丸にケリを入れられて
のたうち回っている。たぶんツブされたな。
. . . 夫婦そろってヒドい目にあってる:-(
男はここでフトコロに隠し持っていた包丁を取りだし、刺す。刺す。
ここで形勢は再逆転。死への恐怖で、場が凍りつく。
(このときの男の動きの不自然な感じが、なんか、ものすごく印象に残ってます。)
ここまでのなりゆきをジッと見守る女。すこしも見逃すまい、と
いった感じだ。店長の指示でワレに返った男は逃げ出す。場の緊張がとぎれ、
大騒ぎになるが、女も何かに憑かれたように、どこかに出ていってしまう。
‥と。あまりに非日常的すぎる現実を、なんとか夢ということにしておきたいから? 帰宅直後、男は母親に電話入れる。そして翌日。やっぱり、 いつもどおりジョギングし...ようとしているけど全身ケガで ヨロけている男の前に警察が立っている。終。
最初に映画会社のロゴというか、マークが出るけど、この映画は水色がバックの 「にっかつ」だった。うあー、コレってひさびさ。滅多に見ないよな (^_^)
... なーんてのは、まずイイとして。「狂った果実」というのは、また思いきった タイトルだよねー。よく OK 出たよなー、と思う。まあ、とにかくタイトルが タイトルだけに、ひょっとして女は北原三枝で、有閑青年たちは太陽族かと 思ったりするんだけど、そういう見方をしようとするとワケがわからなくなるね。 単に「80年代風を感じさせる有閑の女が、うまく感情表現できないせいで、 男たちの『若さ』の暴走を引きおこしてしまった」という話だと思った ほうがスッキリする。
「にっかつ」への社名変更が「過去との訣別」の意志表示とするなら、 「これが『にっかつ』の『狂った果実』なんだ」という主張のあらわれ、と 見ることもできて、それはそれでイイのではないか、という気がしてきた。